陸でマグロやサーモンを育てる! ~地下海水を使った養殖の可能性~
地下海水を利用した陸上養殖に注目
日本の漁業は今、さまざまな課題に直面しています。漁獲量が大きく減少する中で、海外の魚が食卓に並ぶことも多くなりました。
そこで、養殖の研究が進められています。人工的に生けすで育てる養殖は、海の生き物を取り過ぎてしまうことを抑制しながらも、安定した質と漁獲量を維持することができます。ところが、海を利用して大量に養殖すると、生態系に影響を及ぼし、赤潮の発生原因となってしまったり、淡水が生けすに流れ込んで養殖の魚が被害を受けたりというリスクも持ち合わせています。そこで注目されているのが地下海水を使った「陸上養殖」です。
陸上で育てるメリットとは
地下海水は水温が一定で、細菌も少なく、安定的に供給できる大変良質な資源です。そこに着目し、さまざまな生物の地下海水による陸上養殖の研究が行われています。ここで重要なのは、天然ものやほかの海中養殖の魚と比べ、いかに付加価値を付けるか、という視点です。まず、高価なヒラメは浅い水位で養殖できるので陸上養殖向きです。また、低水温に弱いカワハギも向いています。珍味とされるカワハギの肝(きも)は、天然の海では夏になると小さくなってしまいますが、一定水温の地下海水による養殖では夏でも冬と変わらぬおいしさを提供できるのです。このように付加価値を付けることで、陸上養殖の価値が高まります。
マグロやサーモンも陸上養殖で
現在、地下海水を使ったクロマグロやサーモンの養殖の研究も進んでいます。人工飼料と地下海水で育てることで、陸上養殖の可能性が模索されています。もし陸上養殖に成功すれば、きれいな地下海水で育てることで寄生虫の心配がなくなるので、サーモンを冷凍せずに生で食べることも可能になります。どうやったら陸上養殖で安定的に成長できるか、日本の漁業の将来を見据えた研究が続いています。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 海洋学部 水産学科 教授 秋山 信彦 先生
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水産学、水産増殖学、水族繁殖学、餌科学先生が目指すSDGs
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