高齢者に対して抱くイメージは? 患者を理解する第一歩として
患者を理解するために
看護の現場では、高齢者や乳幼児などさまざまな世代を相手にします。特に看護師の実習では65歳以上の高齢者を受け持つ可能性が高く、臨床現場に行ってからも患者の7~8割は高齢者です。しかし祖父母などの離れた世代と同居している若者の割合は低下しており、実習現場で初めて高齢者と接して戸惑ってしまう人も多く見られます。
理解の起点となるイメージ
患者を理解するためには、まず実習者自身が抱いているイメージを自覚する必要があります。するとそのイメージはなぜ生まれたのか、イメージと現実にギャップはないかなどを掘り下げられるからです。例えば高齢者と接する機会の少ない世代は、高齢者にネガティブなイメージを持っている可能性があります。ニュースなどで報道される高齢者に関する事件や事故に影響を受けている場合があるからです。もしネガティブなイメージを抱いていた場合、患者に偏見を持って適切ではない接し方をしてしまうかもしれません。よりよい看護教育をするために、まずは若い世代が持っている高齢者へのイメージを明らかにしようと研究が行われています。
高齢者をどう思う?
看護師志望の大学1年生を対象に、イメージアンケートが実施されました。看護に対して関心がある層なのでネガティブなイメージはそれほど強くなかったものの、高齢者看護に関する講義後に再度アンケートを行うと、いくつかの項目に変化が見られました。例えば「高齢者は役割やプライドを持っている」という項目に「そう思う」と答える人が増えたのです。地域の中で役割を持って活躍している人や、生き生きと働いている人の事例を知ることで、高齢者へのイメージがよりポジティブに変化したと考えられます。イメージは実際に相手と関わったり、相手が置かれた状況を知ったりすることで変化します。そのため実習や講義といった看護師養成課程でも、さまざまな事例や高齢者との接点を用意して、患者への理解を進めようと研究や実践が行われています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。