患者・国民のヘルスリテラシーを向上させる看護情報学
看護と情報
看護師には、患者の血圧を測ったり体を拭いたりといった業務だけでなく、科学的根拠に基づいて、その時点で最新かつ最良と思われる知識を患者やその家族に提供することも求められます。そのためにはまず患者をしっかりと観察し、医学的、心理的、社会的な問題をつきとめ、解決できる方法を探す必要があります。またその問題に関連する最新の研究成果などを調べ、その情報が本当に信じられるものかどうかを判断し、そこで得られた解決策を、患者とともに考える姿勢も求められます。こうした一連のプロセスにおいて役立てられる学問が、看護情報学です。
患者のヘルスリテラシーを理解する
看護情報学の基礎となるのは、インターネットの情報検索や、そこで得た情報を正しく解釈し判断するといった「情報リテラシー」です。また患者が、どのようなデータをどのように情報化しているのか、つまり患者の「ヘルスリテラシー」を理解することで、その患者が持つ知識や考え方の偏り方、その問題解決のパターンを見いだすことができます。例えば情報の真偽を疑うことなく信じてしまう傾向がある患者には、情報の「疑い方」を補足説明する、またはパンフレットの内容が伝わっていないときは文字サイズを大きくする、音声付きの動画で説明する、といった対処にもつながります。
データ・情報・知識
今日では、インターネットを含む各メディアから大量の健康関連情報が発信されていますが、そのどれもが患者にとって有用なものであるとは限りません。医療者には、医療の専門家としての情報のとらえ方があり、そのとらえ方のエッセンスを患者に伝えることは、現代医療において重要なプロセスになっています。予防医療がますます重視され、また医療のデジタル化やIoTの普及が進められています。その中では、「データ」「情報」「知識」を看護に取り入れ、国民のヘルスリテラシーの向上、医療の効率性の向上に寄与する看護情報学に、ますます大きな期待が集まっています。
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先生情報 / 大学情報
岩手県立大学 看護学部 看護学科 准教授 遠藤 良仁 先生
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