講義No.12900 教育 物理学

物理は結構いい加減? でも、凄い!

物理は結構いい加減? でも、凄い!

物理離れを解決するには

日本では、2000年頃から学生の物理離れが進んでいます。物理離れを解決する決定的な方法はまだわかっていませんが、物理を「おもしろい」と思える子どもを増やすことこそが重要です。しかし教科書の内容を暗記するだけの授業では、物理のおもしろさを知ることは難しいでしょう。物理をおもしろいと思って教えられる人材が育たなければ、状況を好転させることはできません。大学では、まずは教員志望の学生に物理の魅力を知ってもらうことを第一に教員養成が行われています。

公式を教えない授業

物理を好きになってもらう授業方法のひとつは「公式を覚えさせないこと」です。公式があると問題を早く解けますが、単なる、魅力が乏しい作業に陥りがちです。物理の本質は「目の前で起きている自然現象をうまく表現し、説明すること」です。そのためまずは公式の代わりに絵や図で自然現象を説明し、それを数式という言語で記述することが大切です。このような内容で授業を受けた結果、「物理は公式を暗記する教科」というイメージが変わったと答える学生もいます。

人間性を伸ばす

学校教育の目的は人格の完成であり、生徒の「人間性を磨く」ことが大切です。一方で、学校現場では学力を伸ばすことに、より多くの関心が集まることも現実です。教科教育には、学力向上と共に、生徒が望ましい人間性を身につける機会の提供が求められます。
物理の授業では、「複数人で協力してレポートを作成してもいい」という方法も実践されています。学生の学習歴は多様です。中には物理を学ぶ機会に恵まれず、大学に進学した学生もいます。得意な人が不得意な人を助ける可能性を用意すると、学生は仲間で集まり自主的にレポートに取り組むようになります。その結果学生には、仲間と協力する力、人にやさしく教える力を身につける傾向が見られました。
このような取り組みを地道に続け、少しでも物理好きを増やしていくことができれば、その人材が次の世代に物理のおもしろさを伝えてくれることが期待できます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

秀明大学 学校教師学部  教授(学部長) 榎森 啓元 先生

秀明大学 学校教師学部 教授(学部長) 榎森 啓元 先生

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物理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学には目的を持って入学しなければならない、と身構えなくてもいいのではないでしょうか。それよりも大切なのは入学後の選択です。大学の役割は、学生たちに時間と場所を提供することだと思います。その時間と場所をどう使うかは、あなた次第です。大学には決められた時間割がなく、自由に考えることができます。だからこそ、どの授業やサービスを利用すればあなたのやりたいことができるのか、じっくり考えて選んでほしいです。そこで教育や物理を選びたいと感じたら、ぜひ私と一緒に学びましょう。

秀明大学に関心を持ったあなたは

秀明大学の学校教師学部は「全寮制」です。全国から集まった教師志望の「熱い思い」を持つ学生が共に生活します。地方出身者が多く、約65%が首都圏以外の出身です。全室個室で、部屋を専修教科別に配置するなど、新入生もすぐに打ち解けるよう配慮しています。入寮後のアンケートで9割以上の新入生が「寮生活が楽しい」「充実している」と回答しています。4年間の寮生活で得るものは多く、そこで培われる優れたコミュニケーション能力と豊かな人間性は、教員に必要な資質能力として高く評価を受け、先輩たちの高い正規採用率に繋がっています。