チーム医療にとって大切なこと 社会心理学からの考察
チーム医療で大切なのは連携
部活動などの集団活動ではよく「チームワークが大切」と言われます。最近、医療現場でも医師や看護師らがチームになって患者を診る「チーム医療」が行われています。チーム医療では患者によりよい医療や看護を提供するために、各専門職が持つ知識や技術に加えてチーム間の連携が重要です。実際に、チーム間の連携が取れているとより的確な医療や看護が提供され、患者の満足度も上がるという結果が報告されています。こうしたチーム医療の関係性や連携について、昨今では社会心理学の一分野である、グループダイナミックスの側面から研究が行われています。
各職種を理解し、尊重することが重要
グループダイナミックスとは、人の行動や思考は集団の影響を受けるという現象のことをいいます。その中でも、自分が所属する集団に愛着を持つという「社会的アイデンティティ」は、チーム医療の連携に影響を及ぼします。所属する集団へのアイデンティティが強いほど、自分の集団には協力的に行動する一方で、集団間の対立を助長してしまうこともあります。例えば、医師と看護師の間に何か問題が発生すると、お互いが「だから医師は…」「看護師はこうだから…」と職種間での対立と捉えてしまうのです。こうした問題を解決するには、医師や看護師の枠を超え、「同じ病院の一員」という認識が重要であることが社会的アイデンティティの研究から明らかになりました。またそれぞれの専門性を尊重し、理解することができれば多職種間で活発な議論が行われるようになり、より患者に最適な医療や看護が導かれることもわかりました。
看護師のリーダーシップに期待
医療現場で最も人数が多い看護師は、どのチームにも所属することが多く、チームの連携を深めるためには、看護師がどのようなリーダーシップを発揮すればよいかという研究が進められています。研究で看護師の役割を明らかにし、現場へフィードバックすることで今よりもっと質の高い医療や看護が提供されることが期待されています。
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中部大学 生命健康科学部 保健看護学科 准教授 早瀬 良 先生
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