花も観光資源になる! 魅力的な観光地の共通点
観光地の3つの要素
奈良県にある吉野山は世界遺産としてはもちろん、桜の名所としても人気です。なぜ「吉野山」なのでしょうか。
観光資源などの研究によって、魅力的な観光地の特徴がわかってきました。1つ目はナンバーワンであることです。「町で一番」という狭い地域のナンバーワンでも、観光客の目には魅力的に映ります。2つ目はオンリーワンであることです。例えば春になると桜で一面が覆われる吉野山や、屋久島の縄文杉など、「その場所にしかないもの」が人を呼んでいます。3つ目は本物であるということです。ルーヴル美術館の「モナ・リザ」は小さな絵ですが、本物を見るために世界中から多くの人が訪れています。
花が観光の目玉に
全国各地には、まだ地元の人々も気づいていない観光資源が眠っています。観光学では「よそ者の視点で地域を見る」ことが効果的だとされており、実際にその地に縁のない研究者が現地を訪れて観光資源の発掘に携わっています。
例えば、千葉県八千代市は観光で有名な地域ではありません。そこで、新たな観光資源を見いだそうと市の職員と研究者が調査した結果、ヒガンバナを観光資源にできる可能性が出てきました。ヒガンバナは通常赤い花を咲かせますが、八千代市では黄色や白、ピンク、紫などさまざまな色の花が咲きます。オンリーワンの観光資源として、八千代市はヒガンバナ群生地のアピールを始めました。
観光を成り立たせるために
観光は地域を豊かにするための手段でもあるので、観光客が地元にお金を落とす仕組みを作ることも重要です。前述したヒガンバナの群生地は公園で、特にお金を使うような場所がありません。そのため観光客が訪れても写真を撮るだけで帰ってしまいます。例えば駐車場にキッチンカーを呼んで飲食物を販売すれば、ヒガンバナを見るだけでなく食事を楽しんでもらうこともできるでしょう。観光客に気持ちよくお金を使ってもらうためのビジネスモデルを構築することも、観光研究で重要な視点のひとつなのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
秀明大学 観光ビジネス学部 教授(学部長) 市川 友英 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
観光学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?