現実世界とは違う、仮想空間に広がるビジネス・チャンス
仮想空間の土地が100億円?
人工的につくられた映像を現実のように疑似体験できる技術や仕組み「VR(バーチャル・リアリティ)」や、インターネット上の仮想空間につくられた世界「メタバース」などは、ゲームでもおなじみの情報通信技術です。それらを活用してさまざまなビジネスが展開されていますが、メタバース内の土地が100億円で売買された例もあり、将来は100兆円規模の市場になるとも予測されています。しかし、現実世界と仮想空間の世界で、果たして人間は同じような価値を見いだして、同じような行動をとるものでしょうか?
仮想空間と現実で人間の行動はどう違う?
そこで学生約100人にVRで洪水の映像を体験してもらい、現実の行動にどのような影響を及ぼすかの調査がなされました。「すごい迫力だった」「怖かった」という感想はあったものの、「現実の洪水を避けるために投資をしてもいいと思いますか?」と質問したところ、投資したい人と答えた人は少なかったのです。アメリカの調査でも環境保護のVRを見せた後に「環境保護の投資をしたいか?」と質問したところ、やはり反応はよくありませんでした。VR映像に問題がある可能性もありますが、理由はまだわかっていません。しかし今後、仮想空間で商取引やビジネスが拡大していくことを考えると、現実世界と仮想世界での人間行動の違いを明らかにしておく必要があるでしょう。
新ビジネスが生まれるVR・メタバース市場
2000年代、ある経済学者が「IT化が進んでも経済の原則は変わらない」と発言しました。しかし、制約の少ない、まったく別の自分になれるメタバース内では、やはり人間の思考や行動が現実世界とは変わるものと考えられます。したがって今後、新しい経済活動やルールが生まれるかもしれません。かつてネットショッピングという新しい市場からアマゾンという巨大企業が生まれたように、VRやメタバースの市場から大企業や新しいビジネスが誕生する可能性があるのです。
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