より良い看護ケアのために、医療現場で活躍するロボットたち
看護におけるロボットの活用
病院やクリニック、介護施設などの医療福祉の現場で、人型ロボット、小さな子どもや動物の姿をしたぬいぐるみロボットなどが活躍しはじめています。リハビリテーションを主導したり、患者とおしゃべりしたり歌ったりしています。医療関係者の予想に反し、これらのロボットは多くの患者にスムーズに受け入れられています。中には怖がる人もいますが、周りの人たちが楽しそうに接しているのを見て、次第に自ら触れるようになります。見た目のかわいい、親しみやすいロボットたちは患者の心を癒やしてくれます。
ロボットと人間の役割分担
高齢化によって看護師が不足する中、ロボットの導入は大きな助けになると考えられています。しかし、患者の安全を守る最終的な責任は人間にあります。看護師は脈拍や血圧だけではなく、患者の表情や顔色の変化などさまざまな情報から、看護ケアを行うために多くの判断をしています。看護ケアは、患者と共に作っていくものであり、信頼関係がとても大切です。ロボットがどこまで人間の役割を補えるのか、その活用方法を考えるとともに、看護でのロボットの必要性自体も検証していく必要があります。
これからの看護ケア
医療現場をよく知る看護学、技術に詳しい工学、製品化に強い企業等が連携し、心拍変動解析、表情分析など、さまざまなテクノロジーを積極的に活用して研究が進められています。ロボットだけで患者の自発的な行動を促すことは難しいものの、看護師などの「介在者」の支援があれば、ロボットを十分に活用できることが明らかになってきました。今後は、ロボットの見た目、大きさ、動く速度などによって、患者の感じ方がどう変わるのか、さらに研究が進められていく予定です。看護師の負担が減れば、それぞれの患者との関わりを増やすことができます。患者が怖がらず、癒やし効果を得ながら利用できるロボットが導入されることで、患者と看護師の両者にとって優しい看護環境が整うことが期待されます。
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先生情報 / 大学情報
高知大学 医学部 看護学科 教授 大坂 京子 先生
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