講義No.12964 食物・栄養学

献立だけじゃない! 管理栄養士は食のトータルコーディネーター

献立だけじゃない! 管理栄養士は食のトータルコーディネーター

すべての治療・ケアを支える栄養管理

管理栄養士は健康な人だけでなく、病気の人や、さまざまな理由から食事がとりづらくなっている人に対して栄養指導・栄養管理を行うことができる国家資格です。その活躍の場は広がっており、特に病院や高齢者施設でのニーズが高まっています。病院ではチーム医療の一員として、担当した患者のベッドサイドにも足を運び、リアルタイムで身体状況をチェックしながら栄養管理を行います。
低栄養の高齢患者は多く、栄養状態をよくしなければ治療やリハビリが進まないケースも少なくありません。どんな治療・ケアも、土台になるのは栄養管理です。病気の予防や治療に栄養学を役立てる臨床栄養学は進化しており、がん、腎臓病、糖尿病など専門分野を持って活躍する管理栄養士も増えています。

実は液体はむせやすい

病院や施設では、高齢者の脱水症を防ぐための水分補給が課題です。一方で、誤えん(食べ物や水分が気管に入ってむせること)に注意しなければなりません。
実はサラッとした液体は、むせやすいものの一つです。飲み込みの機能が落ちている人には、お茶などにとろみをつけて出しますが、のどごしが悪くなるので、おいしくないと感じる人もいます。現場で働く管理栄養士はさまざまな工夫を重ねており、例えばお茶ゼリーを作り、デザート感覚でおいしく水分補給をしてもらうといったアイデアが報告されています。

病気になっても自分でおいしく食べる喜びを!

高齢者に対しては、「自分で食べる」ことのサポートもポイントです。管理栄養士は看護師や介護職員などと協力し、姿勢を保つためのクッション、持ちやすく作られたスプーンや食器、食べやすいお皿の配置や盛り付けなど、工夫を凝らします。一人一人に合わせて、その人が前向きに食べる気持ちになる食事環境を整えるのです。
自分でおいしく食べることは、元気の源です。管理栄養士は、病気になっても食べる喜びが得られるようサポートする、食事のトータルコーディネーターなのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

帝塚山大学 現代生活学部 食物栄養学科 准教授 阿部 咲子 先生

帝塚山大学 現代生活学部 食物栄養学科 准教授 阿部 咲子 先生

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臨床栄養学

先生が目指すSDGs

メッセージ

管理栄養士として病院などで働いていると、食事のサポートによって患者さんの食が進み、病状がよくなっていくのを肌で感じられます。やるべきことは多いですが、努力や工夫が「患者さんの笑顔」として実を結ぶ、やりがいの大きい仕事です。これからは在宅医療においても管理栄養士の存在感は増していきます。おいしく食べてもらうためのいろいろなアイデアを形にするチャンスもあり、とても楽しいと思いますので、食で人の幸せや健康をサポートしたいと考えているなら、ぜひ管理栄養士をめざしてください。

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