献立だけじゃない! 管理栄養士は食のトータルコーディネーター
すべての治療・ケアを支える栄養管理
管理栄養士は健康な人だけでなく、病気の人や、さまざまな理由から食事がとりづらくなっている人に対して栄養指導・栄養管理を行うことができる国家資格です。その活躍の場は広がっており、特に病院や高齢者施設でのニーズが高まっています。病院ではチーム医療の一員として、担当した患者のベッドサイドにも足を運び、リアルタイムで身体状況をチェックしながら栄養管理を行います。
低栄養の高齢患者は多く、栄養状態をよくしなければ治療やリハビリが進まないケースも少なくありません。どんな治療・ケアも、土台になるのは栄養管理です。病気の予防や治療に栄養学を役立てる臨床栄養学は進化しており、がん、腎臓病、糖尿病など専門分野を持って活躍する管理栄養士も増えています。
実は液体はむせやすい
病院や施設では、高齢者の脱水症を防ぐための水分補給が課題です。一方で、誤えん(食べ物や水分が気管に入ってむせること)に注意しなければなりません。
実はサラッとした液体は、むせやすいものの一つです。飲み込みの機能が落ちている人には、お茶などにとろみをつけて出しますが、のどごしが悪くなるので、おいしくないと感じる人もいます。現場で働く管理栄養士はさまざまな工夫を重ねており、例えばお茶ゼリーを作り、デザート感覚でおいしく水分補給をしてもらうといったアイデアが報告されています。
病気になっても自分でおいしく食べる喜びを!
高齢者に対しては、「自分で食べる」ことのサポートもポイントです。管理栄養士は看護師や介護職員などと協力し、姿勢を保つためのクッション、持ちやすく作られたスプーンや食器、食べやすいお皿の配置や盛り付けなど、工夫を凝らします。一人一人に合わせて、その人が前向きに食べる気持ちになる食事環境を整えるのです。
自分でおいしく食べることは、元気の源です。管理栄養士は、病気になっても食べる喜びが得られるようサポートする、食事のトータルコーディネーターなのです。
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