研究と実践を往還し、社会に貢献する学問、それが教育心理学
保育の仕事を「協働」の視点から分析する
「協働」とは、同じ目的のために協力して働くことです。ある保育所で、1歳児15名を3人の保育士が担当していました。この3人の働く様子を観察し、それぞれが何をしているかを5分ごとに記録しました。この記録から、3人がどのように協力して働いているか、つまり「協働」の様子が見えてきました。
協働には3つのパターンがありました。すなわち①Aさんは子どもと遊ぶ、Bさんは後片付け、Cさんは次の準備、というような「仕事の分担」、②Aさんは砂場でままごとをしている子ども、Bさんは園庭で三輪車にのって遊ぶ子ども、Cさんは室内で絵本を読む子どもにかかわる、というような「子どもの分担」、③Aさんはおやつと歯磨きを済ませた子どもを外に連れ出す、Bさんは歯磨きをさせたり、外へ出ようとする子どもに帽子をかぶせるなど、外遊びの準備をする、Cさんはおやつの後片付けをしたり、ゆっくり食べている子どもにかかわる、というような「仕事の補い合い」の3つのパターンです。
得られた結果を保育に生かす
これらの協働のパターンからは、保育者には次の3つのことが必要と考えられます。1つは仕事の全体像を知っていること、2つ目は個々の仕事が1人で完全にできること、最後はすべての仕事を連携し、協力しながら行えるようになることです。保育者になるためには、まずこれらの3つのことをじゅうぶんにこなす力を身につけること、保育者になってからは、これらの力をさらに伸ばしていくことが、よりよい保育をするためには求められるでしょう。
研究と実践を往還し、社会に貢献する
この調査は、教育心理学の研究の流れの中で行われたものです。このような研究の積み重ねや発展は、保育や教育の実践を確実に変えていくことでしょう。その新たな実践を、また研究の対象にしていくのです。教育心理学は、保育所や幼稚園、小学校などの「現場」に生かせる「生きた学問」なのです。
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先生情報 / 大学情報
帝塚山大学 教育学部 こども教育学科 教授 清水 益治 先生
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先生への質問
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