カウンセリング技法で記憶をたどる
記憶の理解とカウンセリング技法への期待
皆さんは、ふと何かを思い出すことはありませんか。心理学の学びとして、例えば、人の「記憶」の仕組みやカウンセリング技法が挙げられます。人は加齢や病気等により記憶機能がうまく働かなくなることがあります。心理学の立場では、記憶のトレーニングや心理療法として、覚えたり思い出すための工夫を提供したり、気持ちよく思い出せるためのお手伝いができます。
回想がもたらす効果とは?
高齢者への心理療法の1つに「回想法」があります。「回想法」は、思い出の回想を通して心地よい時間を過ごすことや、その人にとっての人生の意味を考えることを目指すアプローチで、主に医療や介護等の臨床現場で、健常な人や何らかの障害を持つ人などさまざまな状態にある高齢者への治療や支援の方法として導入されています。例えば、好きな音楽や映画、生まれ育った場所、季節の行事等にまつわるその人にとっての大切な思い出を個別やグループ形式で回想します。話題を楽しんだり、ほかの人との交流を通じてその場を気持ちよく過ごせる効果が得られます。心理学を学んだ「良い聴き手」がいることで、「実は自分はいろいろなことを頑張ってきたのだな」とか「まわりに支えてくれる人がいたのだな」等、自分だけでは気づけなかったことに気づき、自信の回復にもつながります。
若い世代の関わり方が重要
老老介護や介護する側のうつなどの問題が増える中で、若い世代の関わり方が重要になってきます。例えば、認知症の本人が元気であることはもちろん、家族も元気であることが大切です。介護している家族の精神的な健康を支えるためには、身内や近所の人など周りの理解が不可欠であり、それがより良い看病や介護を継続できることにつながります。
また、子どもの頃からいろいろな関係性や世代の人と関わることは、さまざまな状態にある人々への正しい理解と、情緒的なつながりを大事にできることにつながります。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
帝塚山大学 心理学部 心理学科 教授 奥村 由美子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
心理学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?