「経営」という目線で、病院の社会的存在意義を考える
続々と集まるデータを使って分析、判断
病院に務める事務職員は重要な仕事を担っています。彼らは病院経営の「社会的な意味」を考えて行動するのも役割の一つです。例えば、複数ある診療科の中に患者数が少なく採算が取れない科があっても、近隣地域に同程度の医療の質を備えた同じ科がなければ、「赤字だから」と簡単に切り捨てたりはしません。この種の判断は紙のカルテが主流だった時代には難しいものでしたが、電子カルテが一般化した現在ではさまざまなデータが集まり、経営方針の決定に影響を与えるようになってきています。
データに基づいた病院選びを
現在は、各病院や団体がそれぞれのデータから「自分たちの行っている医療が良いものかどうか」の指標を作り、それをもとに診療の質の改善を行っています。その中で、特に病院経営の質に関する指標を生み出そうとする研究も進められています。
この指標作りの基となるデータは、実はインターネットで広く開示されています。問題は、そういったサイトが医療、医療経営関係者を対象としていて、一般の人にはわかりにくいことでしょう。これからは患者が病院を選ぶ時代になると言われており、従来のようなイメージや口コミなどではなく、正確なデータを基に病院選びが行われると考えられます。その時流を妨げないように情報発信の方法は磨かれていくべきですし、同時に利用者たちも「情報を読み取る力」を身につける必要に迫られているのです。
重要な情報を広く知らしめるために
前述した研究で特徴的なことの一つは、研究の一環として「こんな情報があること」を一般に周知させる教育活動も行われていることです。大学での授業を通して学生の意識と知識を高めていくほか、地域の講演会などに積極的に参加している研究者も存在します。その結果、データを発信する側と活用する側の双方が、互いに「情報を生かすためのより良い方法」を探りながら寄り添っていくことができれば、今後の医療の世界に変化が見られるはずです。
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