誰もが安心・安全な「情報社会」のつくり方
どんどん便利になる世の中
子どもが冷蔵庫を開けて牛乳がなければ、「アレクサ、牛乳買っておいて」と、保護者ではなくAIアシスタントにお願いする時代がもうやってきています。どんどん便利になっていく世の中ですが、情報社会が引き起こすトラブルや危険性についても考えておかなければなりません。
特に、生まれた時から携帯電話やインターネットに囲まれている子どもたちは、情報とどう付き合えばいいのでしょうか? 教育工学の研究では、小学生・中学生向けの情報モラルに関する教材を開発し、実際にそれを用いた授業を行ってデータを集め、統計分析や教育心理学の手法を通して解明しています。
携帯電話・スマートフォンの使い方の認識のズレ
携帯電話・スマートフォンを使う時のルールづくりをする過程で、「保護者はルールを決めていると思っているのに、子どもはルールを認識していない」「子どもは携帯電話を電話としてではなくゲームとして使っている」ということがわかってきました。こうした認識のズレがトラブルを生じやすくしています。さらに、不法サイトや危険な人物とつながってしまった場合、子どもは保護者や先生に相談せず、子ども同士やネット上の相談に乗ってくれる大人に相談して解決しようとする傾向があります。表面化しにくい子どもたちのSOSに周囲の大人が気づき、適切に対応することの重要性が浮かびあがっています。
情報モラルを身につけるために
今の子どもたちはプログラミングやYouTubeなどに精通していて、創造や表現に対する意識がとても高いのが特徴です。リスクがあるという理由だけで情報との接触を制限するのではなく、保護者側も子どもも主体的に情報と関わる力を身につける教育が求められます。保護者が日頃から子どもの関心事を知り、お互いの携帯電話の画面を見せあって会話をしたり、一緒に調べ学習をしたりすることは、その第一歩になるでしょう。情報モラルに関する「知識」を得るだけでなく、「意識」を変えることで、最終的に「行動」に移すことができるのです。
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広島修道大学 経済科学部 経済情報学科 教授 阿濱 志保里 先生
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