「カオス」を使って、見破られにくい暗号技術を開発する

「カオス」を使って、見破られにくい暗号技術を開発する

暗号はセキュリティの基盤技術

インターネットでは、非公開にしたい機密情報を安全かつ確実にやりとりする必要があります。そんなときに利用されるのが、セキュリティ技術です。その中心に暗号があります。現在の暗号は情報を秘密にするだけでなく、その情報が改ざんされていないか確認し、通信相手が本人であることを保証する認証においても重要な役割を担っています。

見破られにくい暗号にするために「カオス」を利用

暗号は、もちろん第三者に見破られないことが大切ですが、複雑すぎると計算に時間がかかり、利用しにくくなります。そこで、手続きが簡単で見破られにくい暗号技術が重要になります。そのような暗号を設計するためのアプローチとして、「カオス」を利用する方法があります。
数式には、何度も計算を繰り返すうちに、しだいに結果の予測が難しくなるものがあります。気象予測を考えてみてください。時間的に近い予報は当たりやすいですが、遠い先になると当たりにくくなります。あとになるほど、誤差が増大して複雑な振る舞いとなり、予測が難しくなるのです。これと同じように、計算規則に従いつつ複雑で不規則な振る舞いが得られることを「カオス」と呼んでいます。式自体は簡単なので、カオスが生じる式を使えば、計算コストを抑えてセキュリティを高くできるのです。

小型センサーは複雑な計算はできない

ユビキタスセンサネットワークといって、身の回りの多くのところに埋め込まれた小型センサーを主とした情報のやりとりが、今後ますます増えていくと考えられます。そこで使用されるのは、小型化されたセンサーなので、暗号化するにしても複雑な計算はできません。また、すばやく反応させる必要があるため、手続きを簡単にすることは避けて通れないのです。そのためにも、手続きは複雑ではなく、しかしセキュリティの高い暗号技術が求められるのです。

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崇城大学 情報学部 情報学科 教授 吉岡 大三郎 先生

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あなたは、大学受験に向けて、効率よく短時間で多くの問題を解くことが求められていると思います。一方で、大学ではひとつの問題にじっくり時間をかけて、突き詰めていくことが大事になります。このように高校と大学の勉強は、その方法がまったく違います。
ですから、日頃の勉強の中で、「なぜこういうことになるのか」という理由をゆっくり考える時間を大事にしてほしいと思います。そういった習慣は、大学に入ってからも、勉強や研究に必ず役に立つと思います。ぜひ、これから頑張ってください。

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崇城(そうじょう)大学は薬学、生物生命、工学、情報、芸術の5学部からなる総合大学です。“世界で活躍できるプロフェッショナルの育成”を目指し、最先端の施設・設備・研究を備え、学生一人ひとりを厳しく育てる実践的な教育プログラムにより、高い就職率や国家資格合格率を維持しています。理系私立大学では全国初の英語を公用語とする学習施設「SILC(シルク)」があり、英語ネイティブ講師による英語教育が成果を上げています。本学の地である熊本から産業界の未来を切り拓く若者を輩出する学舎でありたいと決意しています。