さまざまなAI技術の、役割と未来

さまざまなAI技術の、役割と未来

200種類以上あるAI技術

AI(人工知能)とは、人間の知的な仕事をコンピュータにさせる技術の総称です。そのため、今や機械学習や深層学習、画像解析や知的推論など200種類以上のAI技術が存在します。そのうちの一つが「オントロジー」です。オントロジーとは、人が話す言葉の意味や情報をコンピュータにわかるよう整理し記述する基礎的な技術です。例えば、「リンゴ」なら「赤い」や「甘い」と関連付けられます。「歴史上の身分」なら「農民」や「武士」、「織田信長」なら「本能寺」や「濃姫」など、言葉の意味や固有名詞、さらに連想できるモノやコトを教えていきます。そのオントロジー技術が、対話や議論をするAIに応用されています。

ChatGPTとの違いは?

言葉を操る点ではChatGPTに代表される生成AIと似ていますが、仕組みは全く違います。一番の違いは「推測」です。コンピュータといえば、検索すれば正しい情報を返してくるものと思いがちですが、生成AIの場合は「この文章の次には、この動詞が来る」など、数多くのパターンから推測する仕組みです。事実でさえも推測してしまうので、対応策として検索エンジンと組み合わせるなど、他の情報システムと連携させたサービスがすでに登場しています。これが今後、新たなビジネスに成長しようとしています。

人型ロボットの登場は近いか

こうしたAI技術に対して、ロボットについては、発展した頭脳を活用して子どもや高齢者の話し相手になるものはすでに登場しています。しかし人間の手足のような繊細な動作を実現するには、まだかなり困難です。なぜなら、動作の世界は現実世界が相手だからです。AIはコンピュータの中で自由に発展し、この数年でメタバース(仮想空間)の世界も大いに充実しました。しかし、メタバースで考えたことをロボットに現実世界でやらせようとした途端、実にさまざまな障害が出てきます。今後は、仮想と現実の2つの世界の連携が重要なテーマになるでしょう。

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神奈川大学 情報学部 システム数理学科 教授 山口 高平 先生

神奈川大学 情報学部 システム数理学科 教授 山口 高平 先生

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先生が目指すSDGs

メッセージ

「将来、人の仕事はAIに奪われる」と言われ、AIで処理できる仕事は、増えていきます。しかし現在、話題の生成AIは、Webから収集した大規模な知識・情報を有しますが、人が雑駁な質問や指示を生成AIにするだけでは、雑駁な回答しか得られないのです。問題の核心をついた、具体的な質問や指示を与えた時に、生成AIは有用な回答を与えてくれるのです。国内でも、生成AIを社員のパートナーにして、業務を行う企業や自治体も出てきました。これからの社会は、AIを有効に働かせる質問力が求められる時代になっていくでしょう。

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1928年創立以来、真の実学をめざし、自ら成長できる人材を育成してきました。近年では2021年、グローバル系3学部が集うみなとみらいキャンパスが誕生。2022年、「建築学部」を開設、2023年には理工学部を改組し「化学生命、情報学部」を開設。文理11学部すべてを横浜エリアに集結させ、世界レベルをめざす総合大学として、新たな一歩を踏み出しました。
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