講義No.13105 法学

昨日の「常識」が変わるから、明日の法律を考える

昨日の「常識」が変わるから、明日の法律を考える

環境法は環境を保護すための法

私たちの生存に不可欠な環境を保護するため、企業や消費者の活動を制限したり、逆にサービスや資金を提供したりする法が環境法です。「環境法」は法律の名称ではなく、環境を保護するためのさまざまな法の総称です。科学の世界では、新しい研究や技術によって、これまでの「正解」が「正解」でなくなることも珍しくなく、環境を保護するための「正解」も変わりえます。常に変化し続ける社会の中で、いまある法やあるべき法などを考えて「答え」を導き出していく学問が、法律学なのです。

原発の安全性と法制度

福島第一原発事故後の2012年、原子炉等規制法が改正され、バックフィット制度が導入されました。これは、以前に建設され既に運転を行っている原発にも、絶えず最新の基準を順守させて高い安全性を確保しようとする制度です。バックフィット制度の導入は、原発を常に最新の科学的知見に基づいてアップデートさせていくための法的な仕組みが出来上がったことを意味します。法律学は、「現在の制度や運用にどのような問題点があり、今後どのような制度や運用が必要なのか」、「他国ではどのような制度や運用があるのか」といった観点から研究を進め、社会に向けて発信していく役割も担っています。

法律と法律学のアップデートは終わらない

バックフィット制度ができても、それで完全な安全性が確保されるわけではなく、これをどう運用していくのかも重要です。また、既に廃止された、あるいはこれから廃止される原発への対応や、使用済み核燃料などの放射性廃棄物の処分といった問題もあります。科学技術は進歩し続けるし、電力に対する社会の需要も変わり続けます。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻のような社会的にインパクトの大きい出来事の影響から、新たな問題が浮上することもあります。「常識」とされている考えや仕組みは、常に「常識」のままではいられません。変化する社会のあり方や人々の考えを踏まえながら、法律や法律学もアップデートを繰り返していく必要があるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

國學院大學 法学部 法律学科 教授 川合 敏樹 先生

國學院大學 法学部 法律学科 教授 川合 敏樹 先生

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法律学

先生が目指すSDGs

メッセージ

今ある法律は万能なものではなく、法律を作った人たちが想定していなかった問題が出てくるケースもあります。そうした場合に、どういう仕組みや法律が必要なのかを自分で考えて、自分が思う正解を主張できるのが法律学という学問です。高校の勉強や大学受験ではインプットした内容を正しくアウトプットすることが求められますが、法律学の学び方と同様、一つの問題に対して「なぜそうなるのか」をより深く考えて、自分なりの意見や考えを見つけ出していくと、勉強が今よりも面白くなっていくと思います。

國學院大學に関心を持ったあなたは

140年以上にわたって、日本に関する教育研究を推進してきた國學院大學は、物事の本質を問い直す学びを大切にしてきました。6学部13学科を擁する現在は、未来の共生社会を創り出す人材の育成を目標に、各学問の立場から日本と世界への理解を深める学びを提供しています。既存の知を熟考し、新たな「知の創造」に挑む本学での4年間は、自身の自己実現や卒業後のキャリアで求められる人間力を涵養するための第一歩となるはずです。