着るアンテナや人体通信! 電波やアンテナの未来は?
着るアンテナ、透明なアンテナ
携帯電話の中には6~7個のアンテナが入っています。アンテナが送受信できる電波の周波数はアンテナの形によって決まるため、3Gや4G、無線LANなど、それぞれの周波数に応じた形のアンテナが必要なのです。これらのアンテナを、形を工夫してひとつにまとめる研究が行われ、半円形と台形を組み合わせた超広帯域アンテナが完成しました。さらにこのアンテナを小型化・フレキシブル化し、服に組み込む段階まで研究が進んでいます。
また、5Gや6Gの通信システムのようにより高い周波数が使われるようになると、電波の減衰が大きくなり遠くまで飛ばなくなるため、今よりも多数の基地局・アンテナを設置しなければなりません。そこで、数が増えても目立たないような透明なアンテナが開発されています。ITOという透明導電膜に薄い金属膜を形成することで高い電気特性と透明性の両立に成功しました。
オーラのように電波をまとう
電波は一般に空間に広く放射されます。しかしながら工夫次第で放射しない電磁界を身のまわりのみに分布させることもできるのです。「人体通信」と呼ばれるもので、体の周りに超高効率に通信エリアを形成することができます。この「電波のオーラ」をまとえば、改札でICカード乗車券を出さなくても、自動改札機に近づくだけで認証して通過できます。また通信エリアは触れた相手にも広げられるので、手をつなげば1台のスマホで一緒に音楽を聴くこともできます。そのほか健康管理などさまざまな用途が期待されます。
究極のワイヤレス充電
現在ある接触型のワイヤレス充電ではなく、例えば天井に設置されたパワートランスミッターからテレビやエアコン、スマホなどにワイヤレスで電力を供給するエネルギー伝送システムの研究が行われています。電波をエネルギーとして遠くまで、かつ狙ったところだけに送るという課題解決はこれからですが、実現できれば人工心臓や内視鏡カプセルなど医療分野にも応用できる技術です。
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東京工芸大学 工学部 電気電子コース 教授 越地 福朗 先生
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