講義No.13155 教育

中学校の技術科の授業は、何のためにあるのか?

中学校の技術科の授業は、何のためにあるのか?

高度技術社会を生きるための力の基礎を身につける

日本の中学校で実施されている授業のうち、「技術科」は何のために行われているのでしょうか。
現在の中学校学習指導要領で、技術科で必修とされている学習内容は「材料と加工の技術」「生物生成の技術」「エネルギー変換の技術」「情報の技術」の4つです。さまざまなものごとの原理を知り、必要か否かを評価・判断・選択できる知識を持ち、技術を適切に活用・管理できる力を得ることをめざしています。それは今後ますます高度化する技術社会を主体的あるいは批判的(Critical)に生きるための力の基礎となります。

STEAM教育の導入で注目される技術科

一方、米国をはじめとする海外では、科学(Science)、技術(Technology)、エンジニアリング(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の5分野を横断する形で、探究と創造に主眼を置いた教育理念による「STEAM教育」が注目を集めています。日本の教育界でもSTEAM教育の必要性が提唱されていますが、既存の各教科での縦割り意識が強いことなどから、なかなかスムーズな導入が図れないでいるのが現状です。
そこで現在注目されているのが、その5分野に関わりの深い技術科の授業です。STEAM教育のように理数系の分野を横断するような形の学習では、全体を俯瞰(ふかん)してマネジメントできるような立場の教員が不可欠になりますが、技術科の教員こそが、そのマネージャーとして適任ではないかと考えられます。

制約された状況にある技術科の授業

しかし、現在の中学校のカリキュラムにおける技術科は、かなり制約された状況にあります。中学校だけに設定されている科目でありながら、授業時数は中学校の総授業時数の2.9%(87.5時間)しかありません。学習科目としてより充実させて、分野横断的な教育の要として機能させるには、小学校から高校までを含めて、技術科の学習時間の拡大を図る必要があるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

弘前大学 教育学部 技術教育講座 教授 上之園 哲也 先生

弘前大学 教育学部 技術教育講座 教授 上之園 哲也 先生

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メッセージ

将来、学校の先生になることをめざしている高校生は多いと思いますが、その中に「技術科の先生になる」という選択肢は、あまり含まれていないかもしれません。しかし、中学時代に受けた技術科の授業を思い出してみると、学びの楽しさを伝えられる良い教科であることはわかってもらえるのではないでしょうか。技術科の先生は、とてもやりがいのある、面白い仕事です。その魅力と醍醐味(だいごみ)を、ぜひ知ってもらいたいです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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