世界中のすべての子どもたちが、適切な教育を受けるために
教育を受けていない子どもは世界で約6000万人
義務教育として全員が小学校、中学校に行き、約97%が高校に進学、大学進学率も50%を超えている日本に住んでいると信じがたいかもしれませんが、世界では開発途上国や紛争後地域を中心に、満足な教育を受けられない国や地域がたくさんあります。
1990年、タイのジョムティエンで、ユネスコ、ユニセフ、世界銀行、国連開発計画の主催により「万人のための教育(EFA)世界会議」が開催され、2015年までにすべての子どもが教育を受けられるようにしようという運動が起きましたが、実際はまだ約6000万人の子どもたちが教育を受けられていないということがわかっています。
世界が開発途上国の教育をサポート
現在、開発途上国では国際協力の一環として、国連や各国政府機関、NGO(非政府組織)が主体となってさまざまなサポートが行われています。学校を建てたり、教員を養成したりするなどで、教育環境はよくなっています。日本もこうしたサポートに参加しており、将来、あなたも希望すれば、JICAが募集する青年海外協力隊などに参加して、開発途上国の教育に携わることができるかもしれません。教育は人々に自信と自立した生活を与え、平和につながっていくと期待されています。
一筋縄ではいかない開発途上国の教育
しかし、一方で教育を行ったために、人々の憎悪が増えたり、対立を生むケースもあります。教育の中身に暴力的な内容が含まれていたり、特定の民族に対してのみ教育を与えるなどの差別をしている地域もあります。いうまでもなく、このような教育はあってはならないですが、実際の教育現場で依然として起こっているのです。
多くの開発途上国では、「多文化共生」「貧困」「格差」などの課題と教育は密接に関係していると考えられます。こうした課題に応える教育とその支援のあり方を考えすべての人が平等、公平な教育を受けられる環境を作ることが、国際教育開発を研究する人たちの大きなテーマとなっています。
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先生情報 / 大学情報
上智大学 総合人間科学部 教育学科 教授 小松 太郎 先生
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