オモシロイを「形」にする、「技術」の教材開発
「技術」は現代の必須知識
「技術教育学」は教育学に属しますが、「技術科」の教授法の研究だけではありません。それと同じくらい重要なのが、子どもたちの技術的な素養=技術リテラシーを育成し、問題発見・解決能力を磨くことです。ITが普及した現在、年齢や文系・理系を問わずテクノロジーの理解は必須となっています。そこに学問領域の壁を越えて広く学ぶ力や発想力、実際に手を動かすモノづくりが加われば、これからの未来を自らの手で作り出していくことも可能になっていくと考えられます。
発想と創造、知識と理論を両輪として
このような状況を背景に、主に小学生から中学生をターゲットとして「オモシロイを形」にできる教材を開発する研究が行われています。この研究では大きく分けて2つの教材が生まれました。自由な発想でものづくりとプログラミングを組み合わせた作品が作れる電子基板のデバイス教材と、技術の授業にある「生物育成」に着目し、ゲーム形式で学べる「シナリオ」教材です。生物育成技術を対象に、基礎的な知識と同時に、生物育成技術の「活用の仕方」を習得して、実社会に出たときにも役立つ能力を磨いていくことができます。
さらに、これら教材は子どもたちにとって楽しいだけでなく、これまで技術を学ぶ機会が少なかった保護者にもよい影響を与えると考えられています。わからないことはわからない、だから子どもと「一緒に考えてみよう」とする姿勢から、親子ともに技術的なリテラシーを学んでいけるのです。
文理の壁を超えた研究と学び
今後も「オモシロイを形」にする教材開発は続きますが、一番のポイントは「これまでにないビジョンを提示する」ことです。この研究をベースとして、異なる視点で子ども、あるいは大人まで巻き込んで技術の面白さや可能性を広げていく教材の開発も期待されています。
この種の研究は、個別の学問領域にとらわれることなく、広い分野に渡る知識が求められることも特徴です。そのような学びは今やグローバルに展開されており、確かな成果を生みつつあります。
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先生情報 / 大学情報
信州大学 教育学部 ものづくり・技術教育コース 教授 村松 浩幸 先生
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