デジタル技術で教育を魅力的にデザイン
協調学習への支援
現代の教育では、仲間同士で学び合う「協調学習」が広く取り入れられています。グループ内で意見を交換することによって仲間同士で教え合う、協調的な学びです。しかし、協調学習の場でメンバーが緊張してしまうと、思うような学習効果が得られません。活発な意見交換を行うには、自由に考えられて、安心して発言できる状態である「心理的安全性」の確保が重要です。そこで、タブレット端末を活用した協調学習への支援が研究されています。
自己学習をチャットボットで
グループでの会話に苦手意識があると、発言が少なくなる傾向にあります。また、英語でのディスカッションでは不得意意識により発言をためらうこともあります。そこで、グループワークに取り組む前に、チャットボットを相手に会話を練習できるシステムが考案されました。この練習を通じて、多様な角度から物事を論理的に理解する「クリティカルシンキング」が高まったという調査結果も出ています。チャットボットが、自己学習と協調学習をつなぐシステムとしての役割を果たすと考えられます。
会話を演出する
さらに、オンライン上での意見交換を支援するシステムも開発されています。このシステムでは、グループのメンバーが仮想の島にいるように表示され、会話に応じたインタラクションが行われます。例えば、1対1の会話が盛り上がると、その2人の間に道ができたり花が咲いたりします。また、会話の中で「私たち」という単語が出ると、グループの一体感が高まったと判断されて島に虹や雲が現れるなどの演出が行われます。話しやすい雰囲気がどれだけ築かれているかを可視化することで、円滑な意見交換が促される仕組みとなっているのです。また、意見交換の成果が可視化されることで、教師も協調学習の評価が容易になるというメリットもあります。
現在は、教育をより効果的で効率的で魅力的にデザインする研究が盛んに行われており、教育ICTに対応した工学的なアプローチが模索されています。
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