絶景尽くしの北海道旅行ができるかも? SDGsにも貢献する応用研究
一期一会の絶景を先読みするシステム
自然現象の蜃気楼(しんきろう)のうち、特に南極、オホーツク海などでは「幻氷(げんぴょう)」という、流氷がビル群のように連なって浮かび上がるものがあります。さらに北海道やその近海では、樹氷、雲海、ジュエリーアイス、フロストフラワー、ダイヤモンドダストなども見られます。どれも珍しい自然現象ですが、北海道各地に設置されたカメラや気象計で気象情報を集め、国と大学が中心になって開発したデータ統合・解析システム「DIAS」を活用することで、その発生予測ができるようになってきました。
得た利益で自然を保護・管理する
DIASで「絶景」が予測できると、「明日はここで幻氷を、あさってはあそこで雲海を見よう」ということが可能になります。これが生かせるのが、観光事業です。自然現象をより高確率で体験することで観光の満足度が高まり、リピート率の向上や、口コミの拡大が期待できます。この一連の応用研究は、「データ駆動型観光の実現とビジネスモデルの開発」と題され、もともとは世界自然遺産である知床半島の環境の監視を目的として立ち上げられました。そのため、観光事業で得た利益はしっかりと自然保護・管理へと還元されています。近年注目を集める、持続可能な開発目標「SDGs」の達成にも近づきます。
安心して暮らせる環境づくりにも役立つ
低温、積雪、凍結といった現象が冬季には当たり前に起こる北海道において、気象は人びとの日常生活とも密接に関係しています。歩行時・運転時の安定性、飛行機の離着陸の可否、農作物の出来・不出来など、さまざまなことが気象に左右されます。気象情報をDIASにより統合・解析することで、観光事業だけでなく、日常生活にも役立てることが可能です。そして将来的には、「こんな絶景があった」「こんな良いこと・困ったことが起こった」と個人が発信した情報を共有できる、市民参加型のモニタリングツールとしての活用もめざしています。
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先生情報 / 大学情報
北見工業大学 工学部 地球環境工学科 環境防災工学コース 准教授 舘山 一孝 先生
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