先生と議論するテストがあったら?
対話するテストには意味がある
デンマークでは、義務教育が終わる学年の最後のテストで口頭試験があります。質問に答えるだけでなく、その結論に至った根拠、考え方まで説明を求められます。あるいは、先生から別角度での疑問を投げかけられて、それに対して議論します。デンマークにも筆記試験はありますが、歴史的に口頭試験の評価の方が重視されています。
デンマークの教育、生徒の総合的評価
デンマークは国土が狭く、人口も少ない国ですが、広いヨーロッパと向き合っていかなければなりません。つまり、国と人とがどうやって生き抜いていくかを考える必要性に迫られているのです。だからこそ筆記・口頭試験を併用することにより、生徒の得意・不得意(記憶力、論理性、コミュニケーション能力など)を見極めて、生徒自身にもそれを自覚させるようなテスト形式を採用しているのです。
このテスト形式のあり方と効果は、フィールド・文献調査によって日本でも研究されています。実際の口頭試験を見学したり、現地教員から話を聞いたり、教員を育成する大学の先生にインタビューしたりすることで、「生徒の総合的評価」を実現させる手法と重要性が解明されました。今後は筆記試験を含めて義務教育修了試験全体を捉え、その効果が探究されていくことになります。
日本の評価制度の変革に
このように、テスト・評価といった面から他国と自国とを比較して、それぞれの優れた点を見つけ出し、自国の制度により良いアレンジを加えていきます。この研究が進めば、今後日本のあらゆる試験制度、さらにいえば教育そのものに変化が訪れる可能性があります。筆記試験の問題の作り方などの研究により、現在の試験制度を大きく変えなくとも生徒の総合的評価の実現に結びつけられるようになるかもしれません。
こうした研究によって生徒自身が客観的に自分を評価できるようになれば、これからの進路だけでなく、その先の将来設計にも道がつながっていくでしょう。
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