講義No.13200 教育

先生と議論するテストがあったら?

先生と議論するテストがあったら?

対話するテストには意味がある

デンマークでは、義務教育が終わる学年の最後のテストで口頭試験があります。質問に答えるだけでなく、その結論に至った根拠、考え方まで説明を求められます。あるいは、先生から別角度での疑問を投げかけられて、それに対して議論します。デンマークにも筆記試験はありますが、歴史的に口頭試験の評価の方が重視されています。

デンマークの教育、生徒の総合的評価

デンマークは国土が狭く、人口も少ない国ですが、広いヨーロッパと向き合っていかなければなりません。つまり、国と人とがどうやって生き抜いていくかを考える必要性に迫られているのです。だからこそ筆記・口頭試験を併用することにより、生徒の得意・不得意(記憶力、論理性、コミュニケーション能力など)を見極めて、生徒自身にもそれを自覚させるようなテスト形式を採用しているのです。
このテスト形式のあり方と効果は、フィールド・文献調査によって日本でも研究されています。実際の口頭試験を見学したり、現地教員から話を聞いたり、教員を育成する大学の先生にインタビューしたりすることで、「生徒の総合的評価」を実現させる手法と重要性が解明されました。今後は筆記試験を含めて義務教育修了試験全体を捉え、その効果が探究されていくことになります。

日本の評価制度の変革に

このように、テスト・評価といった面から他国と自国とを比較して、それぞれの優れた点を見つけ出し、自国の制度により良いアレンジを加えていきます。この研究が進めば、今後日本のあらゆる試験制度、さらにいえば教育そのものに変化が訪れる可能性があります。筆記試験の問題の作り方などの研究により、現在の試験制度を大きく変えなくとも生徒の総合的評価の実現に結びつけられるようになるかもしれません。
こうした研究によって生徒自身が客観的に自分を評価できるようになれば、これからの進路だけでなく、その先の将来設計にも道がつながっていくでしょう。

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先生情報 / 大学情報

東京海洋大学 海洋工学部 海洋電子機械工学科 准教授 市川 桂 先生

東京海洋大学 海洋工学部 海洋電子機械工学科 准教授 市川 桂 先生

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メッセージ

書籍なり、人との交流・対話なりに積極的に向き合えば、自分の世界が広がります。それによって、自分が何に興味を持っているのかが明確になっていくでしょう。加えてなぜ自分がそれをおもしろいと思うのかまで分析してみると、大学で何を学ぶべきなのかも見えてくると思います。そのためには、高校時代にできるだけ多くの物事に触れ、自分の間口を広げておくことです。それはまさに今しかできないことですし、結果として社会に出たときに求められる「教養」を身につけることにもつながります。

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東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。