食の安全と献立の工夫に妥協なし!
おいしさと安全を両立する管理栄養士
管理栄養士の多くは学校や病院、介護施設などでの大量調理に関わって専門手腕を発揮しています。学校給食では給食センターから運んでくることがほとんどですが、献立は管理栄養士が学校や保護者と連携しながら作成し、子どもたちのリクエストにも応じています。学校給食は安全を重視して、料理をすべて加熱処理しています。それでは味気なくなることもあるため、おいしさも追求して衛生面との両立を図っています。また、アレルギーへの対応も細やかな配慮が求められる時代です。例えば卵のアレルギーがある児童にも、食育として卵という食材のことを伝えたい時などは、工夫してなんらかの形で伝えるように栄養学の知見を生かします。
食中毒の危険を常に意識する
管理栄養士の仕事で、献立作成とともに大きなウェイトを占めるのが衛生管理です。微少な細菌やウイルスは、カビなどを除いて目に見えません。食材は外部から運び込まれます。調理スタッフも外から来るため、調理室内は汚染されるものという前提で衛生処置を施します。世界共通の衛生管理指標として「HACCP」があり、日本でもこれを受けて厚生労働省が「大量調理施設衛生管理マニュアル」を出しています。例えば、野菜は水槽を換えて流水で3回洗うといった基本ルールがあります。
ドライシステムが主流に
食中毒の原因となる微生物には、腸炎ビブリオやサルモネラなど様々なものがあります。O-157は毒性は強いものの、熱処理やアルコールが有効です。より大きな脅威となるのが、アルコールが効かず、塩素消毒が有効なノロウイルスです。これらによる食中毒を予防するために、大量調理施設では近年、床を水でぬらさない「ドライシステム」が主流になりました。床に水や残渣を落とさないことによって、より衛生管理を徹底し、細菌等の増殖を防ぐ構造です。衛生状態は、検査試薬を使って細菌や洗い残しの有無を調べます。衛生管理も時代と共に変化するため、管理栄養士はそれに対応していく必要があるのです。
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先生情報 / 大学情報
美作大学 生活科学部 食物学科 講師 中山 真知子 先生
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