講義No.12267 薬学

わかりやすくて飲みやすい薬のパッケージデザイン

わかりやすくて飲みやすい薬のパッケージデザイン

処方薬パッケージの改善は新しい分野

薬のパッケージについて、薬剤師のもとに患者さんから「種類の見分けがつきにくい」「開けにくい」といった声が届くことがあります。こうした処方薬のパッケージデザインは医薬品の規格基準を定めた「日本薬局方」でも明確な基準はありません。患者さんの声も製薬の現場にはなかなか届きづらく、コスト面の問題もあり改善に至りにくい背景がありました。しかし、近年はジェネリック医薬品の普及もあり、患者さんの声をパッケージの改善に反映させる動きが現れ始めました。

ユーザーにとっての使いやすさを突き詰める

使いやすいパッケージを考えるには、実際にその薬を使う患者さんに試してもらうのが一番です。例えば、指先にうまく力が入れられないリウマチの患者さんに1人で取り出して飲むことができるかを試してもらい、意見を聞きながらより使いやすいパッケージのあり方を調査します。また、小さい子どもの誤飲を防ぐ薬品パッケージを作るために、5歳までの子どもに実際に開けられるかを試してもらい、ヨーロッパの安全性基準に合わせたパッケージも開発されました。こういった試行錯誤の末、さまざまなパッケージの改善が行われ、患者さんからも「使いやすくなった」と好評を得るようになりました。

薬剤パッケージのユニバーサルデザイン化

さらに現在は、視覚障害者が自分1人で薬を選別できるようなパッケージの開発が進められています。これは薬のパッケージ包装のアルミ部分に、目には見えない特殊な赤外線インクでバーコードを印刷し、それを専用の機械で読み取ることで薬の名前や説明などを音声で聞くことができる仕組みです。こうした工夫もユニバーサルデザインの一種で、こういった実績が集まることで薬のパッケージに関する法律や基準にも少しずつ変化がもたらされるでしょう。誰にとっても使いやすいパッケージの開発は、製薬そのものと同じくらい重要な分野だと言えるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

横浜薬科大学 薬学部 臨床薬学科 教授 村田 実希郎 先生

横浜薬科大学 薬学部 臨床薬学科 教授 村田 実希郎 先生

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薬学

先生が目指すSDGs

メッセージ

「薬学」は、おそらくあなたがイメージするよりも幅広い分野を持つ学問です。働き方もさまざまで、病院や調剤薬局で勤務する薬剤師はもちろん、製薬会社での研究開発もあれば、私のように大学で薬品の包装やパッケージを専門に研究する生き方もあります。薬に関わる仕事は患者さんにとってのベストを考え続ける仕事です。常に変化する患者さんの状況をよく観察し、一度決めたことも、しばらくしたら見直す必要があるかを繰り返し問い続ける姿勢がとても大切です。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

横浜薬科大学に関心を持ったあなたは

全国初の6年制薬科大学として開学した本学は、患者一人ひとりの苦しみを理解できる”惻隠の心”と”心の温かさ”を育てる教育を実践する。学長にはノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈先生が就任。世界的な科学者の視点で個性教育を行うとともに、強く薬剤師を志す人の努力にはサポートを惜しまない風土が強みである。