スポーツ栄養学は運動と食事と栄養の関わり合いを解明する
運動と食事と栄養の関わり合いの解明がカギ
私たちは、体を動かし、食事によって栄養素を体内に取り入れて生活しています。この「運動と食事と栄養」の関わり合いを解明すると、よりよい健康の維持や、その人が望んでいる体づくりができるようになります。すなわち、スポーツ栄養学です。
そのキーワードの一つが、「分岐鎖(ぶんきさ)アミノ酸(BCAA)」です。体は主にタンパク質でできています。分岐鎖アミノ酸は、そのタンパク質の材料であり、タンパク質の合成を活性化する働きを持っている重要な必須アミノ酸です。これをいかに効果的に利用できるかが重要です。
アミノ酸の取り込みを左右する、細胞のセンサー
体の細胞には、分岐鎖アミノ酸を取り込むためのセンサーがあります。体がどんな状態のときに細胞が活発になり、どのように分岐鎖アミノ酸を吸収するかといった、センサーの特性を解明することがカギとなります。すると、どのタイミングでどのような食事が適切かといった具体的な対策が立てられるようになります。運動時はタンパク質の合成が止まり、分解され続ける状態になっています。それを合成に切り替えるスイッチになるのが、食事での栄養素の摂取なのです。さらに適度な休息を取ることにより、体が修復され、疲労回復や健康の増進、必要な筋肉の増強につながります。
体の不思議の解明が、未来の新しい常識になる
こうした法則は、どの年代においても当てはまります。例えば、筋力が低下し、食が細くなっている高齢者は、適度な運動と適切なタイミングでの食事の摂取および適度の休息によって、よりよく健康維持を行えます。アスリートも内容は異なりますが、基本は同じです。「動く、食べる、休む」の組み合わせによって初めて、その人に最適な健康維持や体づくりのスタイルを確立できるのです。
人の体はまだ解明されていないことが多く、不思議な現象でいっぱいです。スポーツ栄養学は、アスリートの食事管理に特化しがちですが、「体の原理」から広くとらえるとまったく異なる新しい側面が見えてきます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
至学館大学 健康科学部 栄養科学科 教授 村上 太郎 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
栄養学、栄養生理学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?