これおいしい! なぜおいしい? どうすればもっとおいしくなる?
おいしく食べるために欠かせない「食感」
かまぼこやちくわなどの水産練り製品には、白身魚の「冷凍すり身」が使われています。そして現在、ウナギのかば焼き、ウニ、ホタテといった水産イミテーション食品にも冷凍すり身が使われるようになっており、驚くほど、おいしさが再現されています。以前からあるカニカマも、まるで本物のカニのようなリアルな製品が登場しています。水産練り製品を含めた食品において、おいしさの重要な要素となるのが「食感」です。食品には「その食品に合った食感」が存在し、それを表現できたとき、多くの人においしいと感じてもらえるのです。
生物学・化学・物理学の知識を生かす
冷凍すり身は、スケトウダラなどの魚肉を水にさらし、脱水・裏ごし・再度の脱水、その後に糖を混合した後、冷凍して完成します。かまぼこにするのであれば、その冷凍すり身に塩などの調味料を混ぜて成形し、蒸しあげます。水産練り製品における食感の研究では、この各工程の温度・時間・スピード・調味料の量などを生物学的・化学的・物理学的に検証・改善することで、その水産練り製品に合った食感をめざします。加えて、今後さらに安定的に水産練り製品を供給するため、各工程の効率化を図っています。
もっとおいしく食べたい、届けたい
冷凍食品においても食感は重要です。特に揚げ物の冷凍食品を食べてがっかりするようなときは、味よりも食感がよくなかったから、ということが少なくありません。冷凍コロッケの場合、電子レンジで温めるとタネの水分が蒸発してしまい、それが衣のサクサク感を失わせます。これを防ぐためには、どのように製造すればよいか、温め方をどのようにすればいいかといったことも研究対象です。
誰もが「おいしいものを食べたい」「届けたい」という思いはあっても、作りたてを食べたり、とれたてのものを生で食べたりという機会は、なかなか持てるものではありません。そのため、食感を維持したり正確に表現したりといったことが、ますます重要になっているのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
新潟食料農業大学 食料産業学部 食料産業学科 フードコース 講師 阿部 周司 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
食品加工学、食品保蔵学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?