コンピュータは見えないところで耐えている?
「フォールト・トレランス」という考え方
最近のコンピュータは、その普及にともない、誰もが安心して安全に使えることを重視した「ディペンダブル・コンピューティング(頼りになる計算・処理)」がキーワードになっています。コンピュータの不具合でメールが届かない、大事なデータが失われるということはあってはなりません。コンピュータの信頼性を高める一つの要素として「フォールト・トレランス(故障に対する耐性)」が挙げられます。これは故障が起こってしまったときに外から見えないように回復させて立て直す機能です。
地震にも対応できる!?
故障に耐えるための手法は二つの原理に基づいています。一つは「冗長化」、つまり無駄を許すことです。例えば、二つのコンピュータに同じ計算をさせて答えあわせをすれば、もしどちらか一つのコンピュータが計算を誤ってもそれを発見することができます。しかし、停電などで二つのコンピュータが同時に停止するような状況があるとすればどうでしょう? そんなときには、故障に耐えるためのもう一つの原理、「分散」が有効になるかもしれません。コンピュータの機能を分散させて配置することで一カ所が故障してもほかの場所の機能でカバーします。例えば同じデータの入ったサーバをA・B地点の2カ所に分散させれば、A地点で地震が起きてサーバがダウンしてもB地点の方のデータは保全されているわけです。
すべては安心・安全のために
現在、コンピュータはどんどん高速化、高集積化が進んでいるので、冗長化や分散というのは一見流れに反しているように見えるかもしれません。しかし、このような技術は安全で安心なコンピュータ環境を作るためには必要不可欠なのです。これまでに蓄積された、より速い、より高機能なコンピュータのための技術や知識を、これからは安心・安全のために振り向けてゆくべき時代になったと言えるかもしれません。そして、ディペンダブル・コンピューティングの技術によってユーザーにまったく故障を意識させないのが一番理想的な形なのです。
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