教材開発研究によって、英語教育をクリエイティブに変えたい!!
クリエイティブな英語学習とは?
日本の英語教育は、丸暗記や機械的反復練習に偏っていて非創造的であると批判され続けてきました。例えば、語句整序や和訳の勉強では、学習者の活動は主に言語形式(語句選択や語順等)の操作に限定され、伝えるべき意味内容を自分で考え出したりはしません。また、「会話文」を読む際に教科書に顔をうずめて棒読みす場合、文字を音に変換する単純作業を交替で行うだけなので、呼びかけや質問に応じて返事を変えるAIよりも機械的で不自然なコミュニケーションです。それと対照的に、自然な会話では一つひとつの言葉や身体行為が互いに複雑に影響し合い、次々に新しい意味が生まれ、変化し続けます。例えば、Aさんの言葉に反応してBさんが笑ったり怒ったりして、そのBさんの様子を見たAさんが質問したり話を逸らしたりするうちに、会話開始時には誰も予想もしなかった新たな話題・感情・関係性が2人の間に生まれていきます。
「教材開発研究」という応用科学
このように、クリエイティブな英語教育では、学習者自身が意味と表現の創造主体として英語を使いながら習得します。しかし、知識詰め込み・反復トレーニング一辺倒の英語教育から脱却するという大仕事は、個々の教師や学習者の努力だけに頼って成し遂げられものではありません。行政や産業、保護者や地域からの理解・支援も必要です。教育学や言語習得論の知見に基づく教材開発研究も、クリエイティブな英語の学びが実現されやすいアクティビティ環境を具体的に提案したり、そこで実際に起こる現象を説明したりすることができます。
英語アクティビティのヒントを求めて
インプロと呼ばれる即興劇は、英語教材の開発に重要な示唆を与えてくれます。台本もリハーサルもなく、参加者間の相互交流から偶発的にストーリーが展開していく様は、まさに真正な会話の過程そのものです。インプロの原理や手法を応用すると、演劇経験が皆無であってもクリエイティブに英語を使って楽しめるカードゲームや絵本を開発することができます。
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先生情報 / 大学情報
岩手大学 人文社会科学部 准教授 三野宮 春子 先生
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英語教育学、第二言語習得論、教材開発論先生への質問
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