「良い会社」を定義して、将来の進化まで予測する
良い会社って何だろう?
そもそもの話ですが、「良い会社」とはどういった会社でしょうか。有名な会社でしょうか、大きな利益を出している会社でしょうか、社会貢献している会社でしょうか。「良い」にはさまざまな切り口があり、一概に何が良いのか決めるのは難しいことです。自分にとって良い会社が、社会にとって良い会社であるとは限らない、そんなふうにも考えられます。
「良い」の基準は社会の変化と連動して変わる
歴史をひも解いてみると、1970年代には高い売上を得ているのが良い会社とされました。しかしオイルショックなどをきっかけに、大きな会社も簡単に倒産してしまうことを私たちは知ったのです。そこで1980年代になると、利益が安定していることが良しとされるようになります。その後時代の流れとともに、社会貢献している会社が、その次は事業に関わるすべての人を大事にする会社、そしてwin-winな関係を築ける会社が「良い会社」になりました。今ではSDGsに配慮した会社が良いとされるなど、「良い」の基準は時代ごとに大きく変わってきていることがわかります。
過去を知り、未来の「良い会社」を予測
このように、変わっていく「良い会社」を研究した論文は今のところありません。しかし、これからも「良い」の定義が変わっていくことを前提に、将来の会社の在り方を考える研究は一部で進められています。そこから社会の変化に柔軟に対応できるのが良い会社なのかもしれない、そんな仮説も浮かび上がってきます。ただ、この研究ではキーワードとして「人間主義」という言葉がよく使われるのですが、それが具体的に何を意味するのか確定できていないことが課題の一つとなっています。
いずれにせよ、会社はこれまで良い方向に進歩してきたと考えられます。AI技術などの登場により、その動きはさらに加速するでしょう。将来、どんな会社が「良い」と評価されて、若者たちが志望するのか、その予測は企業経営の指標にもなるはずです。
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先生情報 / 大学情報
創価大学 経営学部 経営学科 教授 吉元 浩二 先生
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