年金問題をより深く理解してもらうための教育手法とは?

年金問題をより深く理解してもらうための教育手法とは?

超高齢社会の日本

超高齢社会を迎えている日本において、老後の年金問題は避けて通ることのできない課題です。少し前に、一般の人が老後の20~30年間において公的年金で不足する金額は2000万円程度という金融庁の試算が出ましたが、介護費用などが発生する場合は、さらに多くの資金が必要になる可能性があります。

加入者の少ない確定拠出年金

現在の日本で年金に関する計画を立てる場合、3階建ての構造で検討していくのが一般的です。1階は国民年金、2階は厚生年金、そして3階は、確定拠出年金です。確定拠出年金は、国民年金基金連合会が運営するiDeCo(個人型確定拠出年金)と、企業が運営する企業型確定拠出年金に分かれますが、日本の就業人口約6667万人に対して、iDeCoの加入者は約240万人、企業型確定拠出年金の加入者は約750万人と、少ない割合にとどまっています。これは、将来を見据えた年金計画を提案する既存の教育手法が、あまりうまくいっていないことを示唆しています。

将来の自分との対話形式の動画を活用

そこで、既存の講義方式の年金教育動画を視聴してもらう場合と、将来の老後の自分と現在の自分との対話形式の動画を視聴してもらう場合とで、比較調査が行われました。すると、将来の自分との対話形式の動画を視聴してもらった被験者の方が、年金問題の理解度テストの正答率が高くなりました。また、確定拠出年金への加入を検討している人の割合は、既存の講義方式の年金教育動画を視聴した被験者が47%程度だったのに対し、将来の自分との対話形式の動画を視聴した人は67%に達しました。いずれの被験者も、将来の年金不足のリスクに関しては、80%程度と同じくらいで認識しており、違いがあったわけではありません。こうした年金問題の教育手法のノウハウは、日本だけでなく、今後同じように超高齢社会を迎える世界各国でも応用できるのではと期待されています。

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明治大学 商学部 商学科 准教授 藤井 陽一朗 先生

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メッセージ

街に出たら、道行く人たちの行動や、そこから見えてくる考え方を観察してみましょう。自分と同じか、それとも違うか、その人はなぜその行動を選んだのか。観察しながら考えていくと、何か興味深いテーマが浮かんでくるかもしれません。
私は、人をよく見るということは、とても大切だと考えています。なぜなら、私たちの社会は、人で成り立っているからです。学校での勉強も大切ですが、時には街に出て、人を見て、自分なりの考えを深めていってください。

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