講義No.13338 看護学

「子どものケア」だけではない、小児救急の現場とは

「子どものケア」だけではない、小児救急の現場とは

待合室から始まる小児救急の看護ケア

小児救急の現場では、子どもの重症度や緊急度に応じた適時対応を可能にする院内トリアージが標準的な医療として普及しています。例えば、トリアージ中のある場面で、看護師が、待合室で熱のある乳児の服を脱がせながら、家族と会話をしています。体温調節機能が未発達な乳児は、着過ぎによって熱がこもった状態になっていることがあり、「着ているものを減らした方が楽に過ごせて、熱の上がりも少なくて済む」ことを家族に伝えているのです。小児救急における院内トリアージの研究では、看護師は共通して、観察したり触れたりすることで緊急性の高低を判断しながら、子どもに対する直接的なケアの提供や家族に対する子どもへのケア方法の伝達などを、同時に行っていることが分かりました。

病院から地域へ、広がる看護のフィールド

緊急性よりも、家族が「心配して」小児救急医療にヘルプを求めていることがあります。その「心配」を減らすために、子どもが病気やケガをした時のことを事前にイメージしながら、どういうケアをすれば良いのか、親になる前から理解しておくことが、「その時」の助けになると考えられています。そこで、バーチャルリアリティー(VR)を使い、そういった場面の子どものケアを模擬体験できる素材開発に向けた研究が始まりました。この研究は、親や家族の自信を補強し、「医療にアクセスする手前の子育て支援」につながるでしょう。看護のフィールドは、今、家庭や学校などにも広がっています。

「子ども」をあらためて理解する

小児救急場面に限らず、小児看護で大切なのは、「子どもへの理解を深める」ことです。子どもであった経験を思い返すことは、おとなだけでなく若い学生も難しいのです。例えば、子どもの視野は、おとなに比べ縦横それぞれ狭くなっています。体験学習を通して、子どもの見え方を理解し、「話しかける時にはどのように工夫をすれば良いのか」などを考えながら、子どもの目線に合わせていくことが、子どもを尊重した看護につながっていきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

四天王寺大学 看護学部 看護学科 准教授 藤澤 盛樹 先生

四天王寺大学 看護学部 看護学科 准教授 藤澤 盛樹 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

看護学、小児看護学、家族看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

看護師や保健師、助産師、看護師免許を持つ養護教諭をめざしたいと考えているあなたの夢を応援します。まずは、自分の家族や友人、大切な人を理解し、その人が今より少し幸せにいられるためには何が必要なのかを考えてみましょう。そして、高校生活の中で努力したと思えることをなんでも良いので作りましょう。努力を重ねることと、喜びや悲しさ、悔しさなど、感情が揺れる経験を積んでおくと、自分以外の人の気持ちを共感することにつながります。看護は、人を理解するところから始まります。ぜひ、看護を担う力になってください。

四天王寺大学に関心を持ったあなたは

大阪府南部の閑静な住宅地に位置する文系の総合大学である四天王寺大学。約20万㎡の広大な敷地には、四季折々の樹木や草花があふれ、心の「和」を柱にした教育が行われています。学生主体の活動、COCOROE PROJECTでは、学内外での活動を通して、将来につながる主体的に動く力を身につけます。また、50年以上にわたる教員養成の実績があり、小学校教員採用者数は西日本トップクラス。6月から開催中のオープンキャンパスでは、毎月さまざまなプログラムを用意し、皆様のお越しをお待ちしています。ぜひご参加ください。