重い障害を抱える子どもが、退院後に安心して暮らすために
重い障害を抱えた子どもたち
児童福祉法では、体や脳に重い障害を抱えている18歳以下の子どもを「重症心身障害児」と定義づけています。例えば背中が大きく反り返っている症状の子どもは、姿勢が安定しないだけでなく、呼吸が苦しく、食べ物を飲み込みにくいなど、生活が不自由になってしまうような影響も出ます。重症心身障害児はほかの病気などにかかるリスクが高いため、生まれたばかりの頃からNICU(新生児集中治療管理室)やGCU(回復治療室)で治療を受けることが多いのです。
退院後に目を向ける
医療技術の進歩によってNICUやGCUで助けられる命が増えたものの、退院後に困難を抱える子どもや家族もいることが明らかになっています。NICUやGCUの医療従事者には、退院後の子どもたちがどう過ごしているかを知らない人も多く、まずは退院後の生活を知る機会を提供することが、小児看護の質やモチベーションの向上につながりそうだということもわかってきました。実際に、重症心身障害児が通う社会福祉施設を訪問した看護師たちからは、「子どもたちの暮らしがわかると自分たちの仕事の重要性が実感できて、やりがいにつながる」などの声が上がっています。
多職種・他機関でつながる
NICUやGCUでは、子どもと家族の退院直後の生活を見据えた支援が現在も行われています。しかしながら、長期的な暮らしをイメージした支援がしにくい状況にあると推測されました。そこで地域で子どもと関わる専門職から、子どもや家族が抱える課題や介入方法をヒアリングしてまとめ、NICUやGCUに還元することで、子どもや家族を長期的に見据えた支援につながり、現状よりもさらに、子どもと家族にとっての最善の利益に寄与出来るのではないかと考えられます。重症心身障害児やその家族が安心して地域で生活できる「インクルーシブな社会」実現には、身近なサポーター同士がつながっている事も支援を行ううえでは重要です。
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