病児とその家族に寄り添う「小児看護」
子どもの看護は、病児とその家族が対象
看護師は看護についての基礎を学び、本人の希望にあわせて外科や内科、精神科や救急看護などの専門分野も選択できます。一般的に小児看護は0歳から15歳の病児の支援を対象とした看護ですが、病気の種類や状況によってはそれ以上の年齢が対象になることもあります。子どもの発達は、周囲の大人たちとの関わりで大きく変化します。そのため、病気の子どもを見る時は家族の様子にも目を配ることが大切です。特に、まだ自分の気持ちを言葉にできない乳幼児は、痛みや苦しみを感じても自分で表現できないため、普段から接している家族に話を聞きながら症状を適切に読み取ることが重要です。
状況を受け入れることがストレスを緩和する
長く病児保育をしていると、家族は先行きの見えない不安感から大きなストレスを感じています。こうしたストレスに対応するための行動を「コーピング」と呼び、大きく2種類に分けられます。例えば、「物事の明るい面を見ようとする」「自分で自分を励ます」といったものは「積極的なコーピング」で、病児保育を続けているお母さんに多く見られます。それに対して、「時が過ぎるのに任せる」「なるようになる」といった行動は「消極的なコーピング」といいます。調査により、先の見通しが見えない状況では、意外にも消極的なコーピングのほうがストレスとうまく付き合えていることが明らかになりました。
気持ちに寄り添う看護
長期の治療を要する病では、悪化したり落ち着いたりといった波があります。そのため、子どもを支える家族も、時には状況を受け入れて時間が過ぎるのを待つ心持ちが支えになることもあります。その場合では、看護師側の「頑張れ」と励ます気持ちが、かえって家族にストレスを与えてしまうこともあるので、落ち込んでいる気持ちに寄り添うケアもまた重要です。看護には、そういった一つ一つのコミュニケーションの積み重ねという側面があるのです。
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先生情報 / 大学情報
弘前大学 医学部 保健学科(看護学専攻) 准教授 扇野 綾子 先生
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