赤ちゃんの「かわいさ」と成人女性の「かわいさ」はどう違う?
顔の魅力が生存率を高める
赤ちゃんが「かわいい」のは、大きい目、広い額、丸い頬といった身体的特徴(ベビースキーマ特徴)を持っているからです。これらの特徴は、周囲の大人に「世話をしたい」という気持ちを引き起こして、自分の力だけでは生き延びられない赤ちゃんの生存率を高めます。一方、成人顔の評価には「美しい」という表現が多く使われ、左右対称性、性的二型性(骨格などに現れる性別間の差異)などの特徴によって評価されます。こうした特徴は良好な健康状態や遺伝子の質の良さを示すため、配偶者選択で優位になり、子孫繁栄に役立ちます。
「かわいさ」と「美しさ」
人は「かわいい」「美しい」という感情を抱く前に、視覚刺激によって「かわいさ」「美しさ」を知覚します。そして、実験心理学では、次の2つの事象が立証されています。1つは、視野の中心から外れた周辺視野では、美しさは判断できるものの、かわいさは判断が難しくなるということ。もう1つは、顔写真の上下が逆さまになると、美しさは評価が難しくなるが、かわいさは評価できるということです。これらの結果から、「かわいさ」と「美しさ」は別物であることがわかります。
成人女性の「かわいさ」
「かわいさ」を有するのは赤ちゃんだけではありません。ベビースキーマ特徴を多く持つ成人女性も「かわいい」と評価できます。では、赤ちゃんと成人女性の「かわいさ」は同じなのでしょうか。赤ちゃんの「かわいさ」を知覚すると、人の体は前に動きます。しかし、成人女性の「かわいさ」を知覚すると、特に同性(女性)の体は後ろに動く傾向があります。どうやら両者には違いがあるようです。
それ以外にも、成人女性のかわいさにはどんな効果があるのでしょうか。また、魅力を評価する表現は「かっこいい」「すてき」などほかにも多数ありますが、それらを知覚した時、人の体はどのような反応を示すのでしょうか。実験心理学では、人の感情や評価方法をデータとして集め、これらの疑問を明らかにするため日々研究が進められています。
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