外国人受け入れをどう思う? 国民の意識と政府の政策

外国人受け入れをどう思う? 国民の意識と政府の政策

増加する在留外国人

日本における在留外国人の数は、震災やコロナ禍などの影響を受けながらも、増加傾向が続いています。特に近年では、深刻な人手不足を外国人材で補うために、政府が特定技能制度を拡充して外国人の受け入れを進めています。このような政策の変化の中で、日本の市民がどのような外国人に来てほしいと思っているかを調べるための「サーベイ実験」が行われました。

どんな外国人に来てほしいのか

この実験では、年齢、性別、学歴、住んでいた国、これまでの職業、家族の有無、宗教、どれくらい日本に在住したいかなどの属性をもつ架空の外国人を何人も用意します。そのうちの2人を比較して、日本に滞在するとしたらどちらが好ましいかを選択してもらいます。回答者1人について外国人を変えながら複数回の比較が行われて、すべての回答者から得られたデータが分析されました。その結果によると、「どれくらい日本に在住したいか」という属性では、短期間の滞在よりも、永住権をめざす長期滞在の方が好まれる傾向がありました。これは、日本語も覚えずに短期で帰国してしまう人よりも、日本に理解を深めながら長く滞在する人の方を歓迎するという意識があると推測されます。しかし日本政府は移民政策を取らないという姿勢を崩しておらず、世論と政府の意識の乖離(かいり)が見える結果となりました。

外国人受け入れ政策

外国人を受け入れる政策は、国の姿勢によって大きく異なります。例えば難民政策では、日本をはじめとする多くの国が、自国の社会の安定を優先しています。一方で、カナダは難民個人の状況を重視して、その人が自国に戻ると不利益を被る場合は受け入れるという方針です。難民政策をはじめとする外国人受け入れの政策は、入国者のコントロールと、入国者への権利の付与という2つの側面があり、受け入れ国の考え方が色濃く反映されています。国をよりよい将来に導くためには、国民の意識を分析して、適切な政策の決定が求められます。

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先生情報 / 大学情報

一橋大学 ソーシャル・データサイエンス学部 ソーシャル・データサイエンス学科 准教授 ウ・ユジン 先生

一橋大学 ソーシャル・データサイエンス学部 ソーシャル・データサイエンス学科 准教授 ウ・ユジン 先生

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政治学方法論、計量政治学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は、アメリカの大学で学び、今は日本で研究を進めていますが、高校生の頃から自分が何をしたいのか見えていたわけではありません。ただ夢中で歩いて、気がついたらここに立っていたという感じです。ですから、人生の目標をあまり深く考える必要はなく、その時に面白いと思えることに打ち込んでいけば、次の道は開けると思っています。大学に入れば、いろいろな人に出会えて、今まで知らなかった価値観に触れられます。そこから何かを見つける可能性もあるので、まずは一歩を踏み出してください。

一橋大学に関心を持ったあなたは

一橋大学の大きな特色として、まず第1に挙げられるのは、我が国で最も伝統のある社会科学の総合大学として、常に学界をリードしてきたという長い歴史と実績、並びにこの伝統を受け継ぎ、人文科学を含む広い分野で、新しい問題領域の開拓と解明を推進する豊富な教授陣に恵まれていることです。第2は、商学部・経済学部・法学部・社会学部の垣根が低く、学生は各学部の開設科目を自由に履修することができます。また、10人から15人程度の少人数で行われているゼミナール制度(必修)を核とする少数精鋭教育も本学の特色のひとつです。