AIにもわからない、インターネット内の情報の真偽
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インターネットが普及する前は、わからないことを調べるには図書館に行って本を読んだり、関係する機関に電話などで問い合わせたりするのが一般的でした。インターネットが普及した現在は、最初のアプローチとして、スマートフォンやパソコンなどで検索するのが一般的です。しかし、インターネットから得られる情報が正しいとは限りません。
誰もが知っているコツ
インターネットで検索すると、大抵とても多くの情報が提示されます。その中には、古い情報も、根拠がなく書かれた偽の情報も含まれている可能性があります。一方で、書籍は出版社が刊行しているために情報の信頼性が比較的高いと言えます。その上で、図書館で本を選ぶ際には、誰もが無意識のうちに本を選別しています。例えば本を見て、厚いか薄いかによって内容の充実度を判断するでしょう。また、本の装丁がボロボロになっていれば、発刊が古くて情報は前のものかもしれないけれど、今まで多くの人に読み継がれてきているのがわかります。これは非常に単純なことですが、インターネットでは簡単にできません。
AIの失敗
インターネットの情報の質が見極めにくいのは、人間もAIも同じです。情報の価値を見誤ることで、大変な結果を招いた例があります。イギリス政府は、コロナ禍で通常の大学入試試験ができなかったことから、学生全員の情報を集めて個々の学力をAIに評価させました。すると、学費の高い私立校の出身者の成績が高めに出てしまい、一方でこれまで大学進学者の数が少ない公立高校の生徒は、同様の学力なのに潜在学力が低いという判定になったのです。この結果に不満を持った高校生が抗議活動を行ったことで、政府は高校生に謝罪して、AI評価を中止しました。
これからさらに活用が期待されるAIは、どうやって情報の真偽を見極めればよいのでしょうか。コンピュータの専門家だけではなく、社会学者や法律学者など、多くの分野の力を合わせて考えなければならない課題です。
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