必要な情報やデータを導き出す「検索」はどうなっていくのか

必要な情報やデータを導き出す「検索」はどうなっていくのか

私たちの毎日に欠かせない「検索」の進化

現在、さまざまな有用な情報が容易に得られるようになっています。それは、情報検索技術に代表される、情報を得るための技術の進展によるものです。そこでは、自然言語処理技術や画像処理技術が重要な役割を果たしていますが、その背景には、大規模データを活用した機械学習の発展があります。検索エンジンは、単にキーワードと一致する情報を提示するのではなく、ユーザーがどのような情報を求めているかを理解し、その文脈に沿った情報を適切に提供するようになっています。また、ユーザーの検索履歴やこれまでの行動から、そのユーザーに最適化された検索結果を作り出すように進化しています。

情報検索技術の進歩のデメリット

このような技術の進化はメリットが大きい反面、デメリットも存在します。何かわからないことや知りたいことがあったとき、今や多くの人が「検索すればいい」と考えるでしょう。それは間違ってはいませんが、検索で得られた情報を無批判に信用してしまうことは、物事を覚えておく力、文章を書く力、情報の正誤を見抜く力、情報の公正さを考える力などを失うことにつながります。技術の進化によるメリットを享受しながら、学習力や判断力の重要性を認識し、人間がより賢くあるために鍛錬の機会を維持することが重要です。

データの生かし方は多種多様

今後の情報取得の方法として、これまでの検索などに加えて、ChatGPTのような生成AIを活用して情報を生成する手法が加わると考えられます。今後、社会のあらゆる場面において、情報やデータの重要性が増していくでしょう。現在、すでに、経営からスポーツに至るまで、多様なシーンでデータが意思決定に活用されています。情報取得のための技術が発達し、情報取得が容易になったとしても、それらはあくまでツールでしかありません。最終的に求められるのは、得られた情報やデータを適切に活用し、実社会の課題解決につなげることなのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

兵庫県立大学 社会情報科学部 社会情報科学科 准教授 大島 裕明 先生

兵庫県立大学社会情報科学部 社会情報科学科 准教授大島 裕明 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

ウェブ情報学、情報デザイン学

先生が目指すSDGs

メッセージ

現在、世の中のあらゆる領域において、データが活用されるようになっています。さまざまな場面においてデータが収集され、大量のデータが意思決定に用いられるのです。私たちの生活を変えつつある人工知能も、大量のデータを基にして作られています。学問においてもデータを基にして新しい知見を得ることがあらゆる分野で行われるようになってきました。実は、昔からデータは重要なのですが、今後もデータの重要性はますます高くなっていきます。あなたの関心がどこにあったとしても、「情報」を学ぶことは必ず将来に役立つはずです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

兵庫県立大学に関心を持ったあなたは

兵庫県立大学は、平成16年に伝統ある神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学の3県立大学が統合し発足した、全国屈指の公立総合大学です。
国際商経学部・社会情報科学部・工学部・理学部・環境人間学部・看護学部の6学部と9大学院研究科、5附置研究所、附属中学・高校を擁し、県内各地に多様性に富んだ9つのキャンパスがあります。
本学での多様な学びを通して、しなやかな人間力と深い教養、時代に先行する専門的知識と技術をと身につけた、未来社会を導く「知」のプロフェッショナルを育成します。