人工衛星からのデータで、災害状況を素早く正確にキャッチする
多分野で活用されるリモートセンシング
離れた場所からデータを取得する「リモートセンシング」の技術が、多くの分野で求められています。医療分野では遠隔で治療や手術を行う、地学の分野ではドローンで地層を観測するなど、さまざまな手法と技術が使われています。特に今注目されているのは、人工衛星から得られる地上のデータです。人工衛星は地球の上空の周回軌道を回っているため、広範囲な地域のデータを定期的に取得できます。例えば気象衛星のデータは、天気予報や災害予測などに活用されています。
雲も突き抜け見通すレーダーの威力
現在、人工衛星のデータから災害状況を分析するための研究も進んでいます。地震の際に起こる液状化現象や、大雨による河川の氾濫、土砂災害などについて、上空から把握できれば政府や自治体がいち早く被害を分析し、被災者支援や復興作業を適切に行うことができます。
人工衛星でデータを得る手段には、さまざまな種類があります。光学センサによる観測では、人間の目で見るのと同じような地表の画像が得られます。赤外線センサを使うと、地表の温度を測ったり、植物や水のある場所を抽出したりすることができます。電波の反射を利用したレーダーは、雲を透過して地表に届くので、光学センサでは見えない雨天時の地上を確認することができ、災害時に適していると考えられます。
「現地に行かない」利点とは?
人工衛星の情報には、農業分野からも期待が寄せられています。少子高齢化の進む日本では、農業従事者の減少と高齢化が課題となっています。リモートセンシング技術を使い、作物の生育状況をなるべく農地に行かずに上空から観測することで、農地管理の効率化をはかることができます。
現地に行かなくても済むというのがリモートセンシングの大きな利点の1つです。特に災害時には、現地に行くことが難しい状況や時間がかかる場合があります。リモートセンシングで被災地を把握することは、安全性の面からも重要なのです。
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先生情報 / 大学情報
広島工業大学 環境学部 地球環境学科 ※2025年設置構想中 准教授 小西 智久 先生
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地球環境学、空間情報科学先生が目指すSDGs
先生への質問
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