コンピュータ技術の発展で「どこでもドア」のような体験が可能に!?
「模擬実験」で手間やコストを削減
「コンピュータシミュレーション」は、安全性やコスト面などで、実物を用いて実験することが困難な場合に、コンピュータを使って模擬実験を行い、問題点や解決法を見つけ出す技術です。
例えば、異なる性質のAとBの素材をかけ合わせて新素材を開発するような場合、分子結合のルールに基づいてAとBの素材のかけ合わせをシミュレーションすれば、現物を使うよりも大幅に少ない手間とコストで、ベストと思われる方法を導き出すことができます。また、複雑な力学計算などが必要な設計・製造現場でも、この技術が導入されています。
人間の行動パターンもコンピュータで解析
社会現象をシミュレーションする研究も進んでいます。例えば、災害時に避難経路がわからない人は、他者の動きについていく傾向が見られます。一方、避難経路がわかっている人は、視野に入った人に声をかけて連れて逃げることができます。そうしたさまざまな行動パターンをコンピュータでシミュレーションすることで、人的被害を最小限に抑えられる誘導方法を見つけようという研究が進んでいます。
コンピュータ技術が、「体験できる世界」を広げる
スマホやタブレットのカメラをかざすと、数百年前のその場所の風景がディスプレイ上に表示されるといった、「AR(拡張現実)」の技術によるサービスが、各地の観光地で導入され始めています。また、架空の世界に入り込んだような視覚・感覚を体感できる「VR(仮想現実)」の技術も、ゲームをはじめとしてさまざまな分野で使われるようになりました。
これらの技術を、教育に応用する方法も研究されています。例えば歴史の授業で、学習中の時代の生活をARやVRで体験すれば、実感をともなった明確な知識を得ることができるでしょう。コンピュータ技術が発展すれば、まるで『ドラえもん』の「どこでもドア」のように、行きたい場所や時代の情景や出来事を、本当に体験したかのごとく見聞きすることができるのです。
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先生情報 / 大学情報
広島工業大学 情報学部 情報マネジメント学科 ※2025年設置構想中 教授 山岸 秀一 先生
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