リモートセンシングとIoTで、身近な問題を解決!
宇宙からトラックの荷台が見える!
人工衛星など、離れた場所から地球に起きている現象を観測するのが「リモートセンシング」です。今や雲を突き抜けて地表を撮影できる衛星もあります。画像の分解能もかなり高く、30センチのものが見分けられます。具体的に言うと、トラックの荷台に何を積んでいるかわかるのです。以前は地球を回る衛星が上に来たときしか観測できませんでしたが、カメラの首を左右に振ることで斜めからの観測もできるようになりました。気象衛星ひまわりの場合、2分30秒ごとに日本近辺を観測することができます。また人工衛星の数も2000年代後半から急速に増えたことで、膨大な観測データを得られるようになりました。得られたデータは海面温度や海岸線の変化、気象現象の観測など、さまざまな分野で使われています。
ドローンを使い農作業を支援
さらに近年はドローンの性能が飛躍的に上がり、手軽に観測データが取れるようになりました。ドローンでも数百メートル四方はカバーできるため身近な問題を解決するには十分で、田畑の監視や収穫量の予測、果樹の収穫に打撃を与える「遅霜」の予測などに使える可能性があります。今もなお大多数の農家は経験則により農業を行っていますから、低コストでデータを得られることは作業の改善に役立つはずです。
実測データとの組み合わせ方がポイント
大事なのは、IoT(モノのインターネット)を使い、観測データを地上での実測データと組み合わせることです。例えば不法投棄されやすい場所を割り出すなら、駐車がしやすいかどうか、道路の斜度や見通しと地形情報とを合わせて考える必要があります。遅霜を予測するには地表温度や風の計測が不可欠です。実測データを得るにはネット環境の整備や給電に関する工夫も重要で、仮に電源確保のため太陽電池を置くなら、風雨への対策を行う必要もあります。技術の進歩によりデータを取るための手段は多様にあるので、実現はアイデアと工夫次第だといえます。
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先生情報 / 大学情報
弘前大学 理工学部 電子情報工学科 准教授 丹波 澄雄 先生
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