コンビニはデートスポット? 日本企業の海外出店を成功させるには
コンビニでデート?
コンビニといえば、気軽に立ち寄ることのできるお店のひとつです。しかし東南アジアに出店した日本企業のコンビニは、現地では高級店として位置づけられています。建物を2階建てにして店内の飲食スペースを広く設ける店舗もあり、バリエーションが豊富です。カップルがデートの目的地にするケースも見られ、カフェのように使われています。このように、日本人が思うコンビニと、海外の人が思うコンビニは同じではないのです。
海外出店に欠かせない環境整備
日本企業の本格的な海外進出は1970年代後半から東アジアを中心に始まり、2000年代からは東南アジアへの進出がメインになりました。百貨店、コンビニ、アパレルショップ、飲食チェーン店などさまざまな業態の小売業が海外出店しています。
小売業は仕入れと販売がうまく機能しなければ成り立ちません。しかし、海外ではメーカーと小売業の橋渡しをする卸売があまり発達していないため、まずは仕入れの環境を整備することが必要です。日本の工場から商品を持ち込むと、関税や物流費用等の影響で価格が高くなり、売れにくくなります。物流の仕組みづくりは簡単ではないため、現地に工場を作ることのできる大手企業などが海外で生き残っています。
鍵を握る「グローカリゼーション」
小売業の海外進出の研究では「グローカリゼーション」が成功の鍵として注目されています。世界を単一に見るグローバル化と、現地化させていくローカル化との融合です。企業は本国で培ったノウハウで店舗間の標準化を進める一方で、従業員とのコミュニケーションや品ぞろえなどを現地に合わせて変更します。たとえ中国で成功したモデルがあったとしても、それがマレーシアなど別の国で通用するとは限りません。また、コンビニが海外で弁当を売ったとしても、現地の消費者に弁当を食べる習慣がなければ在庫を抱えてしまいます。同じ方法に固執せず各国の環境に適応させた結果のひとつが、デートスポットにもなるコンビニなのです。
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下関市立大学 経済学部 国際商学科 教授 柳 純 先生
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