「経済地理学」で、地域の特色を分析してみよう!

「経済地理学」で、地域の特色を分析してみよう!

工業地帯は、海沿いでなければ発展しない?

中学校の社会科で、「太平洋ベルト(地帯)」について学んだと思います。日本の経済成長を支えてきた重化学工業は、原料も製品も重く大きなものが多く、船やトレーラーなどで運搬しやすい大型港湾の近くに集中しました。一方、半導体など小型・軽量で単価の高い製品は、飛行機で運んでも元が取れるので、空港近隣に工場用地が確保できる地域に、精密電子部品メーカーが進出しています。

大都市が発展した理由とは?

日本三大都市、東京、大阪、名古屋はどのように発展したのでしょうか? 大阪は古くから、「天下の台所」と呼ばれるほどの物流拠点でした。東京は、江戸幕府が置かれたことで国内最大の消費地となりました。そして名古屋は、名古屋城築城を機に商業が発展し、明治維新以降は工業地域としての機能が高まりました。
歴史的に重要な場所だった所には、ヒト・モノ・カネが集まり、さらに都市の規模が拡大します。逆に、田舎だった地域を放置すると、過疎化が進むことになります。東京に集中しすぎている経済や人口を分散し、「地方創生」を図る政策が進められているのは、地域ごとの格差がこれ以上広がると、国全体の機能にさまざまな問題が生じてくるからです。

コンビニが近くに集まっているのはなぜ?

もしコンビニの新店舗をオープンさせるとしたら、どんな場所を選びますか? ライバル店が離れた場所なら、販売競争は避けられるでしょうが、1店だけで集客努力をしなければなりません。ライバル店が並んでいれば、「あの通りに行けばコンビニがある」と認識してくれる客が相乗的に増えるので、売り上げを伸ばしやすいでしょう。あなたの町にも、コンビニが何店も集中しているエリアがあるかもしれません。
このように、どんな種類の産業か、何を作るか、何を売るかによって、有利な立地は異なります。こうした分布や集積の状況、相互作用などについて研究するのが「経済地理学」の分野です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

下関市立大学 経済学部 経済学科 教授 杉浦 勝章 先生

下関市立大学 経済学部 経済学科 教授 杉浦 勝章 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

地域政策論、経済地理学、地域経済論

メッセージ

あなたが住んでいる町は、どんな町ですか? 都会だったり田舎だったり、工業地帯だったり商業地帯だったりと、「町」や「地域」にはさまざまな特徴があります。そして、近年は多くの地域が、人口減少や高齢化、商店街の衰退、工場の閉鎖などの問題を抱えています。
こうした問題が、どういうメカニズムで起こるのか、どういう政策を実施すれば問題を解決できるのかといったことを考えるのが、「地域政策」という学問です。地域の問題に関心があれば、私と一緒に勉強しましょう。

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創立以来、本学は経済学部の単科大学として歩んできましたが、2024年4月にデータサイエンス学部を開設し、2025年4月には看護学部(仮称)を設置構想中で、3学部を有する総合大学に大きく生まれ変わろうとしています。多様な学問分野、人との出会い。総合大学としての強みを最大限生かしつつ、これからも社会課題の解決に貢献していきます。
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