講義No.13493 医療技術

聴覚障害のある子どもへのサポートに必要な技術とは?

聴覚障害のある子どもへのサポートに必要な技術とは?

聴覚障害とは何か

聴覚障害とは、耳の聴こえが低下していることを示します。耳の聴こえには、外耳や中耳、内耳、脳といった各部位が適切に働くことが必要です。しかし、何らかの原因で、各部位に異常が起こると聴覚障害が生じます。聴覚障害を抱える人には、生まれつきその状態である先天的な場合と、病気やケガなどが原因でその状態になる後天的な場合とがあります。

聴覚障害児者へのサポートとは

子どもが、生まれながらに先天的な聴覚障害を持っているとわかった場合、その子どもと保護者にさまざまな形でサポートしていくことが必要です。例えば、専門の病院で聴力検査を行い、どの周波数の音が聴こえにくいのかを確認し、聴力を補うために必要な補聴器を調整します。また、聴力程度が重度であると、人工内耳を選択する場合もあり、手術の後のマッピングやリハビリを行います。
また、先天的に耳が聴こえにくい子どもは、発育の段階で言葉を話すことが難しくなりがちです。そのため、自然な遊びの中でコミュニケーションを取りながら、子どもが自ら進んで言葉を発していけるようなトレーニングを取り入れていくといった工夫をしていきます。聴覚障害のある子ども接する際に必要なコミュニケーションスキルを保護者に習得してもらうためには、密接に協力しながらの環境づくりと、子どもの成長過程に応じた適切な支援を講じていくことが必要です。

言語聴覚士という仕事

聴覚障害のある子どもへのサポートを担うのは、言語聴覚士と呼ばれる国家資格を持つ人々です。言語聴覚士は、子どもの発音練習や発達支援などをはじめ、失語症になってしまった人へのサポートなど、主にコミュニケーションに関するさまざまな問題に直面している人々を支える役割を担っています。また、食事の際にうまくかめずに飲み込めない嚥下(えんげ)障害の人へのサポートも言語聴覚士の領域です。こうした幅広い領域で、相手に応じた柔軟な対応ができるような人材が、言語聴覚士の仕事には求められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

県立広島大学 保健福祉学部 保健福祉学科 コミュニケーション障害学コース 教授 佐藤 紀代子 先生

県立広島大学 保健福祉学部 保健福祉学科 コミュニケーション障害学コース 教授 佐藤 紀代子 先生

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聴覚障害、リハビリテーション科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

本学科で学んでいる学生は、言語聴覚士の国家資格の習得をめざして日々努力を重ねています。資格の要件を満たせないと卒業できませんので、大学入学後、違う道を選ぼうとすると、大学生活が厳しくなるかもしれません。自分自身がこの分野の仕事に向いているかどうか、適性やモチベーションがあるかどうか、しっかり考えてから進路を決めた方がよいでしょう。できれば、進路を決める前に、ボランティア体験などを通じて言語聴覚士の仕事の一端に触れてみて、いろいろ考えてみてください。

県立広島大学に関心を持ったあなたは

県立広島大学は、教育、研究、地域貢献、国際交流のいずれにおいても公立大学として一級の大学になっています。「主体的に考え、行動し、地域社会で活躍できる実践力のある人材の育成」を目標に、教養教育では、大学4年間の学士課程教育を通じて実施する「全学共通教育科目」を設定するとともに、専門教育においては、教養教育との連携を図りながら、「専門科目」を系統的に設定することにより、バランスのとれた教育内容を提供していきます。