最新の「情報工学」で、障がい者を支援する
障がい者が得られる情報を保障する
聴覚や視覚に障がいのある人にとって、「健常者と同じような情報が得られない」、ということが大きなハンディキャップとなっています。そうした人たちに対して、本来得られるべき情報を保障することを「情報保障」といいます。聴覚障がい者に対しては、大学の講義や講演で話された内容を文字に起こして読めるようにする「文字通訳」や、手話による通訳が、情報保障の一例です。文字通訳の作業は、手書きの時代に比べ、パソコンの普及によって大幅に効率化しました。現在は、ICT(情報通信技術)の発達が情報保障をさらに進化させる時代となっています。
ネットワークを活用する意義
手話通訳も文字通訳も、これまでは、通訳を担当する人が講義や講演などの現場に行って作業をする必要がありました。しかし現在では、ネットワーク技術を使って、遠隔で通訳をする試みが進んでいます。テレビ会議のような動画送信による手話通訳や、スマートフォンで音声を送って在宅で文字通訳することも可能になります。これにより、通訳者の移動の手間がかからないというだけでなく、離島など通訳者のいない場所でも情報保障を提供しやすくなったのです。
Web技術の進化が情報保障を変えていく
これまでのWebでは、各パソコンからWebブラウザでサーバにアクセスしてサーバから情報を得ることがメインでしたが、新しいWeb技術を用いると、Webブラウザでパソコン同士の高速な双方向通信が可能になります。情報保障を遠隔で行う場合、セキュリティなどの問題で、ネットワークによるデータの通信にさまざまな制限がありました。準備にも手間がかかるため、遠隔での情報保障がなかなか普及しない一因ともなっていたのです。新しいWeb技術を活用してパソコン同士がつながることによって、データのやりとりがより自由にできるようになります。こうした自由度が増していくことで、専門的な技術が必要とされていた情報保障の世界に、一般の人が気軽に参加できるような日が来るかもしれません。
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筑波技術大学 産業技術学部 産業情報学科 教授 若月 大輔 先生
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