社会の基盤を支えるアルゴリズム理論
実社会でも活用されているアルゴリズム
「アルゴリズム」とは問題の解き方を表した手順で、社会のさまざまなシーンで活用されています。例えばwebの検索エンジンで言葉を調べると、関連するホームページの一覧が出てきますし、カーナビで目的地を入力すると、最適なルートが提示されます。これらの計算にはアルゴリズムが使われています。すべての可能性を試すような単純なアルゴリズムを使うと、答えが出てくるまでに何時間、あるいは何日も待たなければならないのですが、実際には答えが瞬時に出てきます。これは、工夫されたアルゴリズムが使われているからなのです。このように、良いアルゴリズムを設計するということは、社会を便利にしていくことにつながっています。これを支えているのが「アルゴリズム理論」です。
人やモノの「安定な」組み合わせに
例えば男女5人ずつでペアを作る(マッチングする)場合、通常は各人に組みたい人の順位をつけてもらい、希望ができるだけかなうようにしますが、この条件だけではマッチングが「不安定」になり、壊れてしまう恐れがあります。1960年代に提唱され、今なお研究されている「安定マッチング」は、この問題点を解消した、壊れる危険性のないマッチングです。安定マッチングを求めることにもアルゴリズムが使われています。
安定マッチングは研修医の病院配属、学校配属、研究室配属など多くの場面で活用されていることから、汎用性が高く社会からの需要も大きいと言えます。安定マッチングの有用性は高く評価され、2012年には関連研究がノーベル経済学賞を受賞しました。
探求するべき問題は尽きない
現時点ではすでに解明されている問題でも、時代の変化や技術革新に合わせて、問題設定を変えて新しいアルゴリズム開発を進めていく必要があります。また、近年話題になっている量子コンピュータは、現在私たちが使っているコンピュータとは動作原理が全く異なるため、専用のアルゴリズム開発が必要になります。このように、今後さらに挑戦するべき問題は尽きません。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
兵庫県立大学 社会情報科学部 社会情報科学科 教授 宮崎 修一 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
アルゴリズム理論、数学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?