「インスタ映え」する写真や顔加工アプリは「いいね!」に有効?

「いいね!」をもらうには
写真や動画を投稿・共有できるSNSとして、Instagramは世界で15億人近い人々が利用しています。より多くの「いいね!」を獲得するために、「インスタ映え」する写真の撮影テクニックが広められ、顔写真に加工を施すアプリが人気を集めるなどしています。しかし、「いいね!」の獲得につながると世間で思われているそれらの方法は、本当に有効なのでしょうか。
調査で判明した結果
日本国内にいるおおむね30歳未満の女性で、100~1,500人程度のフォロワーを持つInstagramユーザー800人の投稿を対象とした調査が行われました。投稿のトピックは、成人式、卒業式、カフェ、国内旅行です。また、投稿者の顔に関しての特徴として、顔出しの有無、顔自体の魅力度、笑顔の度合い、顔への加工、写真全体の質などに着目して、評価者によってそれらの特徴量が設定されました。
分析の結果、投稿者の顔は、出さないよりも出した方がより多くの「いいね!」をもらえる傾向にあることがわかりました。一方、顔自体の魅力が「いいね!」につながるかどうかは投稿のトピックにより異なり、旅行などの分野では相関関係が薄いことが判明しました。また、インスタ映えする写真が「いいね!」を集める効果は卒業式やカフェに限定されており、投稿者の笑顔の度合いも「いいね!」にはあまりつながらないことがわかりました。さらに、顔の加工は、かえって「いいね!」をもらいにくくなるという結果が出ています。
大規模な行動データで
社会科学の分野における研究方法は、以前は質問紙を配ったり面接をしたりといった手法であり、調査できる人数が限られてしまい、無作為抽出の困難さが課題となっていました。現在はSNSなどから大規模な行動データが抽出できるようになり、統計解析とAIの活用など、多様な手法が利用可能になりました。こうした研究方法によって、私たちの社会をよりよい方向にシフトさせていくためのヒントが新たに見つかるかもしれません。
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先生情報 / 大学情報

兵庫県立大学社会情報科学部 社会情報科学科 教授土方 嘉徳 先生
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