洋服の「着心地」とは何か?
洋服の「着心地の良さ」を決定づけるものとは?
リラックスした状態で身につける部屋着や肌着を購入する際、どのようなポイントが重要でしょうか。デザインや色などさまざまな要素がありますが、部屋着や肌着に限って言えば、特に「着心地の良さ」を大切にする場合が多いのではないでしょうか。では、「着心地が良い」とはどのような状態を言うのか改めて考えてみると、着心地の良さには絶対的な基準はないことに気がつきます。肌着には肌着の、セーターにはセーターの着心地があり、それを身につける人の肌の強さや体格によっても、着心地は変わってきます。普段何気なく意識する着心地は、使われている生地や繊維、デザイン、自分の体と服の間のゆとりの量など、さまざまな要素が絡み合って生み出されるものなのです。
「着心地」という感性を数値化する
それでは、着心地を客観的に評価することは不可能なのでしょうか。実は「服に使われている生地」と「型紙」に着目することで、科学的な調査が可能です。例えば、被服材料学や被服構成学という学問では、生地が肌に触れた際の摩擦量や繊維に含まれる物質量、生地を曲げ伸ばしした際の柔らかさ、型紙に含まれるゆとりの量などを実験や計算で測定しています。実験や計算から得られたデータを、実際の着用者へのヒアリング結果と突き合わせることで、「着心地」という感覚的な基準を数値化することが可能なのです。
被服学の幅広い知識を身につける意義
昨今、洋服を作る技術をオンライン上で手軽に学べるようになりました。特に被服学の専門家が解説する動画を活用すれば、縫製の細かい部分まで技術力を磨くことが可能です。しかし、多様性が重視される現代、ファッションに携わるのであれば、洋服を作る技術だけでは足りません。デザインの面でも着心地の面でも、多様な人に向けて洋服を作る必要がありますから、生地や型紙を理解して、着心地という感性を数値化する方法を知っておくことが大切になっているのです。
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