いま藻類がアツい! 食料、燃料からインテリアまで

タンパク質危機を救うのは藻類?
藻類には、ワカメのような大型の海藻類以外に、顕微鏡を使わないと見えないクロレラやミドリムシのような微細藻類がいます。この微細藻類が持つさまざまな可能性に視線が集まっています。
一つは食料としての利用です。藻類は栄養価が高く、EPAやDHAなどの脂肪酸のほか、種類や育て方によってはダイズに匹敵するタンパク質を含むので、タンパク源として期待されます。また、可食部が少ない陸上植物に比べ、丸ごと食べられて無駄がないのも利点です。
ただ微細藻類はなじみのない風味のものが多く、おいしい藻類が探索されています。また、ほとんどの藻類は光合成をするため緑色をしており、食品加工に使いにくいため、脱色など色を薄くする技術の研究が進められています。
藻類から石油をスピード生成
藻類は燃料としても利用が可能です。例えば植物油と同じような油を作る藻類は多いので、搾っててんぷら油などと一緒にバイオディーゼルに変換することができます。植物油は酸素原子を含んでおり、炭化水素のみで構成される石油に比べてカロリーが劣りますが、藻類の中にも炭化水素だけの油を作る種類が見つかっています。
別の使い方として、藻類から人工的に「石油」を作ってしまう方法があります。石油などの化石燃料は陸上植物やプランクトンが長い年月をかけて地中で変化したものですが、同じプロセスで藻類に高温高圧をかける「水熱液化」という処理をすると、数時間で原油のようなものができます。
どちらの方法でも、現状では原油に比べてコストが非常に高いため、燃料ではなく潤滑油など、機能性のある油への応用が検討されています。
意外なコラボレーション
さらには、藻類を建築やインテリアに活用する研究も行われています。赤や緑の藻類と樹脂を混ぜ合わせて作られた塗料は、建築材料として独特の風合いを表現することが可能です。また、藻類の培養槽を照明と組み合わせて、遮熱性や二酸化炭素の吸収といった実益と装飾性を兼ねたインテリアの開発なども進められています。
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武庫川女子大学環境共生学部 環境共生学科 教授吉田 昌樹 先生
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