新たな価値を生み出す! コンセプトを伝えるためのアート

新たな価値を生み出す! コンセプトを伝えるためのアート

廃棄されるものからジュエリーを生み出す

「捨てられてしまう物に価値を与える」というコンセプトのもと、廃棄物を使ったジュエリーが作られています。ジュエリーは価値のある物として知られていますから、あえて価値がないと思われている物を材料にして作り出せば、コンセプトを強く印象づけられます。作例のひとつに、空き缶から作られたブローチがあります。金属にいくつも切れ目を入れて折り曲げる彫金の技法を用いて、くしゃくしゃに丸めた紙のような形が表現されました。飲料の缶は中身を飲み終わればごみとして捨てられてしまいます。しかし人が手を加えて芸術性のある形を与えれば、ジュエリーとしての価値が生まれるのです。

コンセプトを起点にしたアート

コンセプトが伝わるような素材や技法を選定して作品を生み出す分野を「コンセプチュアルアート」といいます。コンセプトと作品の整合性がどれだけとれているか、作品を見た人の心にそのコンセプトがどれだけ浸透するかなどを重視する分野です。
例えば使い古されたミニカーからとった型にプラスチックを流し込み、化石のように表現したジュエリーが作られました。この作品のコンセプトは「所有力の化石化」です。小さな頃にコレクションした物は、次第に押し入れの奥にしまわれて蓄積されていくでしょう。あるとき押し入れを整理して、かつて集めていた物が発掘されたときに、人々はその物にまつわる記憶を思い出します。この感覚が化石や宝石などを発掘したときに似ていると伝えるために、作品が作られました。

身の回りの物が材料に

コンセプチュアルアートは素材や技法の自由度が高いことが特徴です。前述のようにごみが素材になることもあれば、ミニカーのような身の回りの物が材料になることもあります。作者が人々に伝えたいコンセプトを表現できれば、なんでもありの分野だといえます。そんな自由度の高い分野において、どのような素材や技法を使えばコンセプトをより強く伝えることができるのか、研究や作品制作が続いています。

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先生情報 / 大学情報

神戸芸術工科大学 芸術工学部 生産・工芸デザイン学科 助教 三島 一能 先生

神戸芸術工科大学 芸術工学部 生産・工芸デザイン学科 助教 三島 一能 先生

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彫金、ジュエリー、立体造形

先生が目指すSDGs

メッセージ

美術の大学ではデッサンをやらないといけない、幼い頃から絵を習っていないと入学できない、というイメージがあるかもしれません。表現のレベルを上げるために技術が求められる場面はありますが、それよりも日頃から感覚を研ぎ澄ませるほうが大切です。社会に対して思うことや、日常のなかで「これはどうなんだろう」と感じたことを蓄積しておくといいでしょう。さまざまな作品に触れて感性を磨くのもいいと思います。あなた自身の目や心、そして感性を大切にして大学に来てもらえると嬉しいです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

神戸芸術工科大学に関心を持ったあなたは

神戸芸術工科大学は建築・環境、生産・工芸(プロダクト、ファッション・テキスタイル、クラフト)、ビジュアル、メディア(まんが・コミックイラスト、映画・アニメ、CG)の4学科12コース※ を設置するデザイン・アートの総合大学です。生活を豊かに彩り、人生に潤いをもたらす事ができるデザイン・アートの力で世界を変えてみませんか?現役クリエイターとして活躍している教員陣が充実した設備の中で展開する少人数制で実践的な授業を通して、アナタの好奇心と目標達成、成長を全力でバックアップします。※2024年4月開設